呼吸不全の患者に気管支鏡を施行してもよいか

e0156318_14504521.jpg酸素投与量リザーバーマスク10L/min、両肺にびまん性スリガラス陰影。気管支肺胞洗浄(BAL)をしたいが、できない。

そんなジレンマを持ったことがある先生は、多いと思います。「酸素吸入している患者さんに気管支鏡をやってもいいのかどうか」というのは呼吸器科医が悩む問題の1つです。Intensive Care Medicineから面白い報告がありました。結論としては、オッズ比が5を超える条件であるCOPDや免疫抑制状態がなければ、NIPPV覚悟でやってみるのも一つの手かもしれませんね。

Cracco C, et al.
Safety of performing fiberoptic bronchoscopy in critically ill hypoxemic patients with acute respiratory failure.
Intensive Care Med. 2012 Oct 16.


背景:
 挿管されていない重症の呼吸不全の患者さんにおける気管支鏡の安全性は、評価されたことがない。われわれは、挿管や人工呼吸器サポートを気管支鏡後に必要になった症例を調査し、このイベントの予測因子を同定することとした。

方法:
 これは、8つのフランスのICUでおこなわれたプロスペクティブ多施設共同観察試験である。このスタディでは、P/F比が300以下の患者に対して169の気管支鏡検査が施行された。
 プライマリエンドポイントは挿管率とした。セカンダリエンドポイントは、人工呼吸器サポートが必要であった頻度と酸素療法必要性の増大(>50%)、非侵襲性陽圧換気呼吸(NIPPV)の必要性やその増大とした。

結果:
 24時間以内に人工呼吸器が必要となったのは59の気管支鏡検査後であった(35%)。そのうち、25が挿管を要した。COPDの存在(OR 5.2, 95 % CI 1.6-17.8; p = 0.007)、免疫抑制状態(OR 5.4, 95 % CI 1.7-17.2; p = 0.004)は、多変量解析において有意に挿管率と関連していた。P/F比のような生理学的パラメータのベースライン値は、挿管とは関連していなかった。

結論:
 気管支鏡はしばしば低酸素状態にある重症患者さんでは人工呼吸器を要する。しかし、挿管にまで至ることはそう多くない。COPDと免疫抑制状態にある患者は、気管支鏡後に挿管人工呼吸管理が必要となる可能性がある。

by otowelt | 2012-10-27 00:41 | 気管支鏡

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