M.abscessusにおいてクラリスロマイシンはerm(41)発現を誘導し耐性化に関連

私の尊敬する先生から耳にしたことがあるのですが、
M.abscessusの一部には、M. massilienseが混じりえんせ(massiliense)
という、内容もさることながらセンスも抜群の素晴らしいシャレがあります。

M. massilienseM.abscessusでは前者の方がクラリスロマイシンの感受性が良いことが知られていますが(喀痰陰性化率88% vs 25%; P < 0.001)、市中病院では16S rRNA検査ができないので臨床的にこれら菌種を区別することは難しいです。
Koh WJ, et al. Clinical significance of differentiation of Mycobacterium massiliense from Mycobacterium abscessus. Am J Respir Crit Care Med. 2011 Feb 1;183(3):405-10.

同じWon-Jung Kohのグループからの新しい報告がAJRCCMにありました。

Go-Eun Choi, et al.
Macrolide Treatment for Mycobacterium abscessus and Mycobacterium massiliense Infection and Inducible Resistance
Am. J. Respir. Crit. Care Med. November 1, 2012 vol. 186 no. 9 917-925


背景:
 クラリスロマイシンやアジスロマイシンのようなマクロライド系抗菌薬は、Mycobacterium abscessus M. massiliense感染症に対して経口で治療できる唯一のものである。

目的:
 実験モデルにおけるクラリスロマイシンとアジスロマイシンの活性を比較する。

方法:
 われわれは、クラリスロマイシンとアジスロマイシンの治療効果を比較し、その効果とエリスロマイシンリボソームメチルトランスフェラーゼ遺伝子(erm)(41)発現の誘発との関連性をM. abscessusM. massiliense感染症の実験モデルで検証した。

結果:
 全M. abscessus株において、クラリスロマイシン耐性が誘導された(3日目MIC vs 14日目MIC; P < 0.001)。一方アジスロマイシンは14日目でMIC増加がみられ(3日目と比較してP < 0.01)、クラリスロマイシンの14日目MICよりも有意にレベルが低かった(P < 0.001)。しかしながら、M. massilienseにおいてはクラリスロマイシンとアジスロマイシンの差はみられなかった。
 クラリスロマイシンと比較すると、アジスロマイシンはin vitro, ex vivo, in vivoにおいてM. abscessusに強い活性がみられ(P < 0.05)、M. massilienseではその差はみられなかった。M. abscessus感染症においてerm(41)遺伝子発現は、アジスロマイシンよりもクラリスロマイシン曝露後のほうがその頻度は高かった(P < 0.001)。erm(41)遺伝子はクラリスロマイシン耐性に寄与するものと推察された。

結論:
 M. abscessus感染症において、クラリスロマイシンはerm(41)遺伝子発現を誘発し、結果的にアジスロマイシンよりも耐性化が強くなる。アジスロマイシンは、M. abscessusには効果的であり、M. massilienseには両マクロライドとも有効であると考えられる。

by otowelt | 2012-11-05 18:19 | 抗酸菌感染症

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