IPF治療にST合剤を加えることはper-protocol解析で総死亡率低下に寄与

 免疫抑制治療をおこなっている患者さんにST合剤の予防量が最初から入っていなかったのか疑問が残る試験です(見た範囲では記載がありません)。ともかく、免疫抑制剤の治療内容を問わずper-protocol解析では生存に差が出ているという報告です。本当にST合剤の生存を検証するのであれば、無治療IPFに対するランダム化比較試験が妥当かと思われます。

Ludmila Shulgina, et al.
Treating idiopathic pulmonary fibrosis with the addition of co-trimoxazole: a randomised controlled trial
Thorax Online First, published on November 10, 2012


背景:
 特発性肺線維症(IPF)は、治療法の限られた重篤な疾患である。しかしながら、過去の小さなスタディではST合剤(co-trimoxazole)が利益があるとされている。

方法:
 多施設共同二重盲検において181人の線維化のある特発性間質性肺炎を登録し、89%がdefinite/probable IPFと診断された(他はf-NSIPなど)。適格基準は40歳以上、MRC≧2、少なくとも6週間治療内容が変わっていない患者。二次性の慢性間質性肺炎と同定された場合、プレドニゾロン、アザチオプリン、ミコフェノール酸モフェチル以外の免疫抑制剤使用患者は除外された。


患者らはランダムにco-trimoxazole 960mg1日2回を投与する群とプラセボ群に12ヵ月間割り付けられた(通常治療に上乗せ:プレドニゾロンやアザチオプリン内服患者も登録)。
 評価項目は、プライマリエンドポイントを努力肺活量(FVC)とし、そのほかDLCO、EuroQol (EQ5D)-based utility、6分間歩行試験、MRC息切れスケールなどをセカンダリエンドポイントとした。総死亡率と有害事象が記録された。

結果:
 co-trimoxazoleは、FVCに対して影響を与えなかった(平均差15.5 ml (95% CI −93.6 to 124.6))。また、DLCO(平均差−0.12 mmol/min/kPa (95% CI 0.41 to 0.17))、6分間歩行試験、MRC息切れスケールにも差がみられなかった(ITT解析)。per-protocol解析では、プラセボと比較してEQ5D-based utility (平均差0.12 (95% CI 0.01 to 0.22))、酸素投与量増加を要した患者比率に差がみられ(OR 0.05 (95% CI 0.00 to 0.61))、総死亡率を下げた(co-trimoxazole 3/53, placebo 14/65, HR 0.21 (95% CI 0.06 to 0.78), p=0.02))。
 co-trimoxazoleは気道感染を減らしたが、悪心や皮疹を増加させた。
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Discussion:
・治療内容(ステロイドや免疫抑制剤)による補正もおこない解析をおこなっているが、それとは別に今回の効果がみられている(半数近い患者がプレドニゾロン、30%の患者がアザチオプリンを使用)

結論:
 線維化のある慢性間質性肺炎に対するco-trimoxazoleの標準治療への上乗せは呼吸機能への影響には寄与しないが、QOLや死亡を減少させる可能性がある。

by otowelt | 2012-11-14 09:34 | びまん性肺疾患

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