ICUにおけるHESの輸液蘇生は生理食塩水を上回る有益性なし

e0156318_13215324.jpgデンプン製剤・ゼラチン製剤による腎毒性は累積投与量と相関することが明らかにされています。

J.A. Myburgh, et al.
Hydroxyethyl Starch or Saline for Fluid Resuscitation in Intensive Care
N Engl J Med 2012; 367:1901-1911


背景:
 輸液蘇生に使用するヒドロキシエチルデンプン(HES)の安全性および有効性はあまり評価されておらず、腎有害作用が報告されている(Crit Care Med. 2011 Jun;39(6):1335-42.)。

方法:
 ICU入室患者7000人を、ICU退室、死亡、ランダム化後90日のいずれかまで施行する全輸液蘇生に対して、130kD・モル置換比(molar substitution ratio)0.4の6%HES(130/0.4、Voluven)を0.9%生理食塩水に混合して用いる群と、生理食塩水のみを用いる群に1:1でランダムに割り付けた。プライマリアウトカムは90日以内の死亡とした。セカンダリアウトカムは、急性腎障害・腎不全、腎代替療法による治療など。

結果:
 HES群の3315人中597人(18.0%)と生理食塩水群3336人中566人(17.0%)が死亡(HES群の相対リスク 1.06、95%CI0.96 to 1.18; P=0.26)。6サブグループにおいて死亡率に有意差はみられなかった。
 腎代替療法は、HES群の3352人中235人(7.0%)と生理食塩水群3375人中196人(5.8%)で使用された(相対リスク 1.21,95% CI 95% CI, 1.00 to 1.45; P=0.04)。HES群と生理食塩水群で、腎障害は34.6%、38.0%発生(P=0.005)、腎不全は10.4%、 9.2%発生(P=0.12)。
 HESは、有害事象が有意に多かった(5.3% vs. 2.8%, P<0.001)。

結論:
 ICUの患者において、6%HES(130/0.4)で輸液蘇生を受けた場合、生理食塩水による輸液蘇生を受けた場合と比較すると90日死亡率に有意差はなかった。しかしながら、HESは腎代替療法による治療を受ける事例が多かった。


by otowelt | 2012-11-18 13:23 | 集中治療

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