敗血症・敗血症性ショックに対する赤血球輸血は死亡率低下に寄与

e0156318_21125789.jpgランダム化比較試験ではありませんが、興味深い論文です。

Park, Dae Won, et al.
Red blood cell transfusions are associated with lower mortality in patients with severe sepsis and septic shock: A propensity-matched analysis
Critical Care Medicine: December 2012 - Volume 40 - Issue 12 - p 3140–3145


目的:
 重症敗血症や敗血症性ショックの患者に対する輸血の効果を評価する。

デザイン・方法:
 2005年4月から2009年2月までのプロスペクティブ観察試験(Propensity-matched analysis)。韓国における22のICUで実施。
 1054人の市中発症の重症敗血症や敗血症性ショックの患者を登録。

結果:
 1054人の患者のうち、407人(38.6%)が輸血を受けた。輸血をうけた患者は男性が多く(59.6% vs. 52.6%; p = .028)、癌、外傷、腎疾患、肝疾患、血液疾患を有する率が高かった。また、皮膚軟部組織感染症が輸血群で高率であった。非輸血群では尿路感染症が多かった。
 輸血前の平均ヘモグロビン値は7.7 ± 1.2 g/dLであった。輸血された患者は、28日死亡率と院内死亡率が高かった(32.7% vs. 17.3%; p < .001, 41.3% vs. 20.3%; p < .001)。また、輸血は在院日数の長期化に関連(21日、IQR 10–35 vs. 13日、IQR 8–24 ; p < .001)。しかしながら、輸血を受けた群は収縮期血圧が低く(86.2 ± 27.8vs. 90.7 ± 26.3; p = .008)、APACHEIIスコアが高く(21.2 ± 7.4 vs. 17.4 ± 7.1; p <.001)、入院時SOFAスコアも高かった(8.6 ± 4.0vs. 6.9 ± 5.4; p < .001)。臓器機能も輸血群の方が概して悪かった。
 152人の傾向スコアによるマッチ患者との比較では、赤血球輸血は7日目の死亡率低下(9.2% vs. 27.0%; p < .001)、28日死亡率の低下(24.3% vs. 38.8%; p = .007)、院内死亡率の低下(31.6% vs. 42.8%;p = .044)。在院日数はやはり輸血群で有意に延長した(23日、IQR 11–39 vs.
13日、IQR 5–25; p < .001)。
 複数の因子を補正してCox比例ハザード解析したところ、赤血球輸血は7日目の死亡率低下(HR 0.42, 95%CI0.19–0.50, p = .026)、28日死亡率の低下(HR 0.43, 95% CI 0.29–0.62, p < .001)、院内死亡率の低下(HR 0.51, 95%CI 0.39–0.69, p < .001)に有意に相関していた。
 累積ハザードは、全体でも(HR 0.51, 95% CI 0.39–0.69,p < .001)、傾向マッチ患者でも(HR 0.35, 95% CI 0.23–0.53, p < .001)低下。
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結論:
 この観察試験では、市中発症の敗血症や敗血症性ショックに対する赤血球輸血は死亡率低下に関連していた。

by otowelt | 2012-11-27 00:11 | 集中治療

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