切除後肺扁平上皮癌におけるFGFR1遺伝子増幅は予後不良因子で、喫煙歴と相関する

先日JTOのin pressの論文を紹介しました。

肺扁平上皮癌のうち16%がFGFR1増幅を有するが、患者特性は同定できず

 このJTOの論文は合計37人のFGFR1遺伝子増幅がみられた報告ですが、生存に関しては特に不良因子とは報告されていません。ご紹介するJCOのin pressの論文は、ダイソミー123人、低増幅(2~9コピー数)105人、高増幅(9コピー数以上)34人を解析したもので、この論文ではFGFR1増幅は生存の独立不良因子として結論づけられています。

Hye Ryun Kim, et al.
Fibroblast Growth Factor Receptor 1 Gene Amplification Is Associated With Poor Survival and Cigarette Smoking Dosage in Patients With Resected Squamous Cell Lung Cancer
JCO November 26, 2012 JCO.2012.43.8622


目的:
 外科的に切除された肺扁平上皮癌患者におけるfibroblast growth factor receptor 1 (FGFR1)の増幅の頻度と予後に対する役割、喫煙とFGFR1増幅の関連性を調べること。

患者および方法:
 262人の切除された肺扁平上皮癌患者において、腫瘍組織からFGFR1の遺伝子コピー数が調べられた。同様に喫煙歴と生存データを抽出した。遺伝子コピー数はFISH法で評価され、増幅腫瘍は9以上のコピー数と明示された。

結果:
 262人の患者で、FGFR1遺伝子増幅が見られたのは13.0%であった。ダイソミー123人、低増幅(2~9コピー数)105人、高増幅(9コピー数以上)34人だった。
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    ▲A:高増幅、B:低増幅、C:ダイソミー

 FGFR1遺伝子増幅は、増幅のない患者と比較して有意に無病生存(DFS)が短く(26.9ヶ月 v 94.6ヶ月、P< .001)、全生存率(OS)も短かった(51.2ヶ月 v 115.0ヶ月、P= .002)。
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 性別、喫煙歴、病理学的病期、アジュバント化学療法によって補正した後の多変量モデルでは、FGFR1遺伝子増幅は再発リスクと死亡リスクを有意に上昇させた(DFS: 補正ハザード比2.24;95%CI 1.45 to 3.45、 P<.001; OS: 補正ハザード比1.83;95%CI, 1.15 to 2.89; P =.01)。FGFR1遺伝子増幅は、既往喫煙者や非喫煙者に比べて現喫煙者で有意に頻度が高かった(2.5% v 0% v 28.9%; Ptrend<.001)。喫煙量が増えるほど、FGFR1遺伝子増幅の頻度は増えた(Ptrend=.002)。
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結論:
 FGFR1遺伝子増幅は、切除された肺扁平上皮癌において独立予後不良因子であり、喫煙量に依存した喫煙歴との関連性がみられた。

by otowelt | 2012-11-30 01:02 | 肺癌・その他腫瘍

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