再発性Clostridium difficile感染に対する便の投与は、必要なら受けると答える患者が大多数

e0156318_9451897.jpg医療従事者にとっては少しメジャーな治療法になりました。

Clostridium difficile関連腸炎に対してIMT(便注入療法)は有効

便注入療法という訳もなんだか語弊がありますので、便微生物移植療法などの方がよいかもしれません。CIDから、この便を投与するという治療法に関するアンケート調査結果の論文が出ていました。意外にも、治療内容を聞いてもそれを受け入れられる方が多いことに驚きました。便を臭いと色のない錠剤にできればベストなのでしょうが、”いかなる注入方法であろうと主治医が推奨するなら受ける”という患者がほとんどでした。

Jonathan S. Zipursky, et al.
Patient Attitudes Toward the Use of Fecal Microbiota Transplantation in the Treatment of Recurrent Clostridium difficile Infection
Clin Infect Dis. (2012) 55 (12): 1652-1658. doi: 10.1093/cid/cis809


背景:
 便微生物移植療法fecal microbiota transplantation (FMT)は、安全で効果的な再発性Clostridium difficile感染症(CDI)の治療選択肢である。ただ、あまり頻繁には用いられない。この理由として、そもそもが受けれがたいものであるという患者側の前提に由来する。

方法:
 仮説に基づいた事例を含め、計画された再発性CDIのサーベイを通してわれわれはFMTの美学的忍容性と治療オプションとしてどう希望するかを検証した。
 サーベイアンケートでは、2つのシナリオを準備した。シナリオ1では、CDIの症状に悩まされている場合に選ぶ選択肢はどちらかを選んでもらった。すなわち(1)抗菌薬単独治療(治療効果65%)あるいは(2)細菌叢再構築療法“floral reconstitution” (FR)(治療効果90%)。FRとしたのは、便に対する先入観を取り払うためである。抗菌薬単独両方を選んだ場合、なぜその選択肢を選んだか尋ねた。シナリオ2では、FRがFMTであることを詳細に記載した内容とした。

結果:
 400のサーベイが配布され、192人(48%)が回答した。70%の回答者が女性であり、59%が50歳以上であった。
 シナリオ1の効果的データのみを提供すると、162人の回答者(85%)がFMTを受けると答え、29人(15%)が抗菌薬単独治療を選んだ。なぜ抗菌薬単独を選んだか聞くと、15人(52%)が抗菌薬単独治療で十分だろうと考え、14人(48%)がFRについて詳しい内容を聞いていないから、と答えた。
 シナリオ2でFMTが便を注入するものだと知らされると、16の回答者はFMTから抗菌薬単独治療に変更を希望し、8人が抗菌薬単独療法からFMTに変更を希望した。ただこれによって、FMTを選んだ人の合計数の変化には統計学的に有意差はなかった(154人 [81%]; P = .15)。この時点で37人になった抗菌薬単独療法群の患者にその理由を尋ねたところ、19人(51%)は安全性の懸念をもち、16人(43%)はFRが”気持ち悪すぎる(too gross)”と答えた。
 錠剤としてFMTが提供されるのであれば、あるいは主治医がこれを治療選択肢として推奨するならば、FMTを選ぶと答えた回答者が多かった(90%; P = .002、94%; P < .001)。錠剤として提供される可能性、においや色をなくすことができることなどFMTの詳細な情報提供を受けた場合、FMTを選択する患者は有意に増えた。
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 回答者は、FMTが全体的に”なんかイヤだ・魅力的でない(unappealing)”と評価しており、”便を扱うこと”と”経鼻チューブでFMTを受けること”がよりイヤだと考えている。女性回答者はこの傾向が強く、高齢者はあまりこの傾向が強くなかった。ほとんどの回答者は、FMTを病院内や主治医の職場で受けることが望ましいとしている(48%、39%)。

結論:
 患者はFMTを本来あまりよいものと思っていないが、再発性CDIに対する治療選択肢という情報を与えられ、特に主治医が推奨する場合には考慮してもよいと思っている。

by otowelt | 2012-12-01 00:48 | 感染症全般

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