膿性痰に基づくCOPD急性増悪の抗菌薬戦略の妥当性

以前、喀痰の色と細菌感染症の関連についてご紹介しました。この報告によれば、緑色や黄色の喀痰は細菌感染の可能性が高いという結果でした。

・喀痰の色が緑色か黄色であれば細菌培養の陽性率が高い
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今月のERJから、喀痰の膿性とCOPD急性増悪に関連する報告がありました。Anthonisenの分類でも項目の1つとして挙げられているので、呼吸器科医にとっても重要な所見だろうと思います。

Nestor Soler, et al. Sputum purulence-guided antibiotic use in hospitalised patients with exacerbations of COPD
ERJ December 1, 2012 vol. 40 no. 6 1344-1353


背景:
 入院を要するCOPD急性増悪の患者において、喀痰の膿性は下気道の細菌感染に関連している。われわれは、プロスペクティブ非ランダム化パイロット試験を組み、喀痰膿性度による抗菌薬治療戦略を計画した。これによって、膿性度とバイオマーカーの関連性を検証した。

方法:
 スペインのバルセロナ大学病院で施行。COPD急性増悪の入院患者において、抗菌薬の使用は喀痰膿性である(黄色あるいは緑色)患者に限定した。膿性でない患者は抗菌薬を使用しなかった。
 プライマリエンドポイトを入院中の治療失敗率とした。セカンダリエンドポイントは、短期および長期アウトカムパラメータとした。

結果:
 73人の患者を登録したところ、34人が非膿性の喀痰であった。定義上、Anthonisenの増悪分類に両群で差がみられた。治療失敗の基準を満たした割合に有意差はみられなかった(9% vs 10% 、p=0.51)。入院時の血清CRPは有意に膿性群の方が高かった(11.6 vs 5.3、p=0.006)。3日目のCRPも同様に膿性群で高値であった(2.7 vs 1.2, p=0.01)。血清プロカルシトニンは両群とも同等であった。
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 短期アウトカムに差はみられなかった。180日時点での急性増悪率については膿性群の方が高かった。長期アウトカムとしての呼吸機能に両群に差はみられなかった。

結論:
 これらの結果は、COPD急性増悪における抗菌薬を膿性痰に基づく戦略とするランダム化試験の仮説を支持するものである。血清CRPは、細菌性気管支感染症の存在診断に有用であると考えられる。

by otowelt | 2012-12-03 00:37 | 気管支喘息・COPD

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