呼吸器専門医数が少ないほど、気管支喘息やCOPDの死亡率が高い

呼吸器内科医にとってきわめて重要な報告であるため、ご紹介させていただきます。

山谷睦雄ら.
わが国における気管支喘息および慢性閉塞性肺疾患死亡率:呼吸器専門医数および呼吸器内科教授在籍との関係
日医雑誌141: 2003-2007, 2012.


背景:
 日本呼吸器学会将来計画委員会がこれまで実施した施設調査では、呼吸器科医師の地域間の偏在が明らかになっている。また、呼吸器科勤務医が致死的な疾患を有する高齢者を多く扱い、入院患者、救急などに対応するために超過勤務を強いられ、過酷な状況で勤務している実態も明らかになっている。

方法:
 呼吸器科勤務医不足によって、医療を受ける患者の生命予後に与える影響を検討した。
 気管支喘息死亡率およびCOPD死亡率は厚生労働省平成21 年人口動態統計を使用した。総務省統計局平成22 年国勢調査人口等基本集計より求めた人口を分母に、同基本集計より求めた気管支喘息およびCOPD の死亡者数を分子にして、都道府県別の気管支喘息死亡率およびCOPD 死亡率(対10万人)を計算した。
 呼吸器専門医数は日本呼吸器学会の専門医一覧(平成23年8月15日付)から都道府県別に集計した。厚生労働省平成20年患者調査より病院数を求め、病院当たりの呼吸器専門医数を計算した。

結果:
 気管支喘息死亡率と呼吸器専門医数、および慢性閉塞性肺疾患(COPD)死亡率と呼吸器専門医数との関係を都道府県別でみると、これらは逆相関を示し、病院当たりの呼吸器専門医数が少ないほど気管支喘息死亡率およびCOPD死亡率は上昇した。呼吸器内科専任教授が不在の県においては、教授が在籍する都道府県に比べて呼吸器専門医数が少ない状況が明らかとなった。
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結論:
 呼吸器内科専任教授の不在は呼吸器専門医の減少を招き、呼吸器科医が専門性を発揮して治療に当たる気管支喘息およびCOPDの死亡率上昇に関連する。呼吸器内科専任教授の不在および呼吸器専門医の不足は気管支喘息およびCOPD患者の生命予後を悪化させることが示唆された。

by otowelt | 2013-01-03 00:53 | 気管支喘息・COPD

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