抗ARS抗体陽性間質性肺炎ではPM/DMの有無による差はみられず

金沢から抗ARS抗体陽性の間質性肺炎の論文です。非常に興味深い内容です。

Hazuki Takato, et al.
Pulmonary manifestations of anti-ARS antibody positive interstitial pneumonia - With or without PM/DM.
Respiratory Medicine Volume 107, Issue 1 , Pages 128-133, January 2013


背景:
 アミノアシルtRNA合成酵素に対する自己抗体(抗ARS抗体)は、多発性筋炎/皮膚筋炎:polymyositis and dermatomyositis (PM/DM)に対する特異的な抗体であり、これによる間質性肺炎(IP)と強く相関しているといわれている。
 このスタディの目的は、抗ARS抗体陽性IP患者の臨床的特徴をPM/DMの有無によって比較することである。
 抗ARS抗体:anti-Jo-1, anti-PL-7, anti-PL-12, anti-OJ, anti-EJ, anti-KS, anti-Zo, anti-Ha

方法:
 2005年1月から2010年12月までの間、金沢大学病院においてレトロスペクティブに36人の抗ARS抗体陽性IP患者を同定した。16人の患者がPM/DMを有しており、20人の患者がPM/DMを有していなかった。患者は、PM/DM-IP群と特発性-IP (IIP)群に分けられた。
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 臨床症状、身体所見、検査データ、呼吸機能検査、胸部CT検査、気管支肺胞洗浄液(BALF)の細胞分画が比較された。

結果:
 皮膚所見、筋肉痛、血清クレアチニンキナーゼ上昇がPM/DM-IP群でみられた。PM/DM-IP群とIIP群のいずれの群においても胸部CTで両側下葉の容積減少、スリガラス影、網状影、牽引性気管支拡張がみられ、BALFで高いリンパ球比率(IIP: 44.0% ± 21.0% (mean ± SD), PM/DM-IP: 50.5% ± 23.5%)、低CD4/8比(IIP: 0.36 ± 0.34, PM/DM-IP: 0.44 ± 0.42)がみられた。また、両群とも呼吸機能の減少がみられ、予測肺活量(%)の減少(IIP: 80.1% ± 15.4%, PM/DM-IP: 73.6% ± 16.4%)、予測残気量(%)の減少(IIP: 70.7% ± 21.7%, PM/DM-IP: 71.5% ± 17.1%)、予測全肺気量(%)の減少(IIP: 73.4% ± 13.6%, PM/DM-IP: 71.6% ± 13.0%)、予測DLCO(%)の減少(IIP: 57.5% ± 26.7%, PM/DM-IP: 46.4% ± 10.3%)が観察された。
 両群とも、初期治療としてのステロイドや免疫抑制剤の反応はよかった。
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結論:
 抗ARS抗体陽性患者において、IPはPM/DMの有無を問わずよくみられるものである。慢性のIPで特にNSIPを見た場合、抗ARS抗体を測定すべきである。

by otowelt | 2013-01-08 00:11 | びまん性肺疾患

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