肺結核における血清KL-6は予後推定に有用ではない

※追記:著者の三輪先生より文献をいただき、内容を少し変更しました。

 肺結核症における血清KL-6 の上昇は、結核病巣の周囲に生じる間質性変化に伴うII 型肺胞上皮細胞の動態に由来すると考えられています。過去の報告では、National Tuberculosis and Respiratory Disease Association(NTA)に従って分類した3群での血清KL-6 値の平均は、minimal群で179 U/ml、moderately advanced群で302U/ml、far advanced群で499 U/mlで、重症度と関連性があると考えられています。
Inoue Y, et al. Evaluation of serum KL-6 levels in patients with pulmonary tuberculosis. Tubercle lung Dis 1995;76: 230-233.
 しかしながら、予後推定には使えないと考えた方がよいでしょうか。

Miwa, S, et al.
Assessment of serum KL-6 as a prognostic marker in pulmonary tuberculosis patients [Short communication]
The International Journal of Tuberculosis and Lung Disease, Volume 17, Number 2, 1 February 2013 , pp. 240-242(3)


背景:
 血清KL-6は、肺結核患者の疾患活動性に応じて増加すると報告されている。血清KL-6とその予後についての関連性はわかっていない。

方法:
 このスタディでは、プロスペクティブに血清KL-6を188人の肺結核患者で測定し、60日死亡率を解析した。
 患者は2007年4月から2010年4月まで登録をおこない、HIV感染者やMDR-TB、XDR-TBなどは除外された。

結果:
 188人の肺結核患者および111人の健常ボランティアが登録された。年齢性別に両群に差はみられなかった。肺結核患者においてKL-6は有意に高値を示した(578.3 ± 33.2 U/ml vs 259.5 ± 7.9 U/ml, P < 0.0001)。
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 また、胸部HRCT上コンソリデーションを呈した患者ではKL-6が高かった。CRP,LDHについてはこの関連性はみられなかった。
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 単変量および多変量ロジスティック回帰分析では、血清KL-6は予後と有意に関連していなかった。ROC解析では、AUCは死亡率推定において低精度であった。
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結論:
 血清KL-6は肺結核患者において予後推定には適切に使用できない。

by otowelt | 2013-01-15 17:52 | 抗酸菌感染症

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