再発性Clostridium difficile感染症に対する便の注入はバンコマイシンより有効

過去の参考記事です。
Clostridium difficile関連腸炎に対してIMT(便注入療法)は有効
再発性Clostridium difficile感染に対する便の投与は、必要なら受けると答える患者が大多数

e0156318_12204087.jpg 有効中止されているのが少し残念ですが、将来的にこれが再発例での標準治療になるかもしれません。ただ、健常者の便をカプセルにするといった工夫をしないと、日本での実用化は厳しいかもしれません。

Els van Nood, et al.
Duodenal Infusion of Donor Feces for Recurrent Clostridium difficile
NEJM January 16, 2013DOI: 10.1056/NEJMoa1205037


背景:
 再発性Clostridium difficile感染症は治療が難しく、抗菌薬治療による失敗率も高い。健常者の大便を患者の消化管に移植(注入)することが有用とされているが、ランダム化比較試験のデータは不足している。
 われわれは、再発性C. difficile感染症の患者に対するドナーの大便を注入する手法の効果を検証した。

方法:
 アムステルダムのAcademic Medical Centerで試験をおこなった。登録患者は、18歳以上の再発性C. difficile感染症で、少なくとも1回の適切な抗菌薬治療(10日以上のバンコマイシンあるいはメトロニダゾール)を行われた患者とした。大便を提供するドナーは、60歳未満の健常者とした。
 われわれはランダムに3治療のうち1つを受けるよう割り付けをおこなった。すなわち、初期バンコマイシン(500 mg1日4回4日間)のあと、マクロゴール腸洗浄(4リットル)をおこない経鼻胃管よりドナーの大便を注入する群、標準的バンコマイシンレジメン(500 mg1日4回14日間)群、 標準的バンコマイシンレジメン+マクロゴール腸洗浄の群である。
 プライマリエンドポイントは、治療開始後10週以内の無再発(C. difficileによる下痢症状が消失すること)とした。

結果:
 2008年1月から2010年4月までの間、43人の再発性C. difficile感染症患者、25人のドナーが登録された。
 この試験は中間解析で有効中止された。便の注入を受けた16人の患者のうち、13人(81%)が最初の注入後C. difficileによる下痢症状が消失した。残りの3人は2回目の注入を違うドナーから受け、2人に効果がみられた。C. difficile感染の寛解は、バンコマイシン単独群で13人中4人(31%)にみられ、腸洗浄併用群で13人中3人(23%)にみられた(P<0.001:便注入群と比較)。
 有害事象は3群ともに同等であったが、軽度の下痢、腹部痙攣(cramping)が便注入療法を受けた初日にみられた。
便注入を受けた後、患者の便は健常ドナー便と同じように細菌学的に多様性がみられ、Bacteroides属とClostridium cluster IVおよびXIVa が増加し、Proteobacteria 属は減少した。Simpson’s Reciprocal Indexは、57±26から治療開始2週間で179±42に上昇(P<0.001)。
ディスカッション:
 この試験でおこなったマクロゴール腸洗浄は、病原性の腸内容物の減少および健常者ドナーからの便をうまく誘導コロナイゼーションさせるためにおこなわれた。腸洗浄を行ったことでこの便注入療法の効果に寄与したのかどうかは定かではない。ただ、バンコマイシンと腸洗浄をおこなってもアウトカムには寄与しておらず、マクロゴール腸洗浄そのものがC. difficile感染症に効果的とは考えにくいだろう。

結論:
 再発性C. difficile感染症の治療に再発性ドナーの大便を注入することは、バンコマイシンによる治療と比較して有用である。

by otowelt | 2013-01-18 00:55 | 感染症全般

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