抗凝固療法は肺癌の生存期間を延長する

e0156318_1525422.jpgインパクトが大きいシステマティックレビューですが、リスク比の有意差は微々たるものであり、日常臨床にこれをすぐに適応することはないと思います。

Jing Zhang, et al.
Efficacy and safety of adjunctive anticoagulation in patients with lung cancer without indication for anticoagulants: a systematic review and meta-analysis.
Thorax Online First, published on January 15, 2013 as 10.1136/thoraxjnl-2012-202592


背景:
 肺癌患者は、静脈血栓塞栓症(VTE)のリスクが高く、VTEは予後不良因子である。そのため、抗凝固療法はこれらの患者で利益があるかもしれない。しかし、抗凝固療法の適応にない肺癌患者において抗凝固薬が生存やほかのアウトカムを改善させるかどうかは不明である。

方法:
 われわれはWeb of Science, Medline, EMBASE, Cochraneのデータベースから信頼性のある試験を抽出した。2人のレビュアーが独立して試験を評価しデータを抽出した。プライマリアウトカムは1年生存とVTE発症とした。
 抽出した試験で出版バイアスはみられなかった。
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結果:
 9試験2185人の肺癌患者が登録された。抗凝固療法は有意に1年生存率(RR 1.18, 95% CI 1.06 to 1.32; p=0.004)および2年生存率(RR 1.27, 95% CI 1.04 to 1.56; p=0.02)を改善したが、6ヶ月時には有意差はみられなかった。
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 サブグループ解析では、小細胞肺癌や非進行/限局型肺癌で生存的利益が確認された。
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 VTE発症(RR=0.55, 95% CI 0.31 to 0.97; p=0.04)、血栓塞栓イベント(RR=0.48, 95% CI 0.28 to 0.82; p=0.008)は抗凝固療法によって有意に低下した。
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 ビタミンK拮抗薬とヘパリン皮下投与は出血のリスクを上昇させるが、ヘパリンは重篤な出血の有害事象を増加させなかった。

結論:
 抗凝固療法の適応にない肺癌患者において、抗凝固療法は特に小細胞肺癌で生存的利益が示された。ヘパリン皮下投与はビタミンK拮抗薬よりも出血リスクの観点から優れている。

by otowelt | 2013-01-22 00:09 | 肺癌・その他腫瘍

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