ARDSに対するHFOVは死亡率の改善に寄与しない

タイトルが非常に似ているので混同しそうになりましたが、NEJMから2つ目のHFOVの臨床試験です。HFOVの中央日数が3日間ですが、ARDSネットワークのプロトコールと比較して有意性が証明されませんでした。

Duncan Young, et al.
High-Frequency Oscillation for Acute Respiratory Distress Syndrome
NEJM January 22, 2013DOI: 10.1056/NEJMoa1215716


背景:
 急性呼吸促迫症候群(ARDS)の患者は、動脈血酸素化を維持するため人工呼吸管理を要するが、この治療は二次的な肺傷害を誘発するかもしれない。高頻度振動換気:High-frequency oscillatory ventilation (HFOV)は二次的なダメージを減らすことができるかもしれない。

方法:
 この試験は、イギリスの12の大学病院、4の大学関連病院、13の一般市中病院でおこなわれた。この多施設共同試験において、われわれは成人のARDS患者で人工呼吸を有する患者をランダムにHFOV(Novalung R100 ventilator (Metran)を使用)あるいは通常の人工呼吸管理に割り付けた。HFOV初期設定は10Hz、平均気道内圧5cmH2O、バイアスフロー20L/min、サイクルボリューム100 ml、吸入酸素濃度1.0、I:E=1:1とした。HFOVは、pH7.25を超えるようPaCO2をコントロールした。これが達成できない場合、振幅を1Hzずつ減少させた。最小で5Hzとした。PaO2は60 mm Hg~75 mm Hgを維持するようにした。FiO20.4以下で平均気道内圧が24cmH2Oに到達した場合、従圧式の人工呼吸管理にスイッチした。
 通常の人工呼吸管理群では、一回換気量6~8 ml/kg(理想体重)とし、PEEPはARDSネットワークのプロトコールに基づいて設定した。
 全ての患者はP/F比が200mmHg以下で少なくとも2日間の人工呼吸管理を要すると予想されるものとした。プライマリアウトカムはランダム化からの30日死亡率とした。

結果:
 2306人の医療従事者をこの試験においてオリエンテーションをおこなった。患者は2007年12月から2012年7月まで登録した。2769人の患者がスクリーニングされ、795人(28.7%)がランダム化フェーズに移行した。
 HFOVは、388人の患者で中央日数で3日間(IQR2-5)使用された。最長で24日間であった。
 プライマリアウトカムに両群での差はみられず、30日死亡率はHFOVで398人中166人(41.7%)、通常の人工呼吸管理群で397人中163人(41.1%)であった(P = 0.85 by the chi-square test)。
 施設間、性別、APACHEIIスコア、初期P/F比で補正をおこなうと、通常の人工呼吸管理群の生存オッズ比は1.03 (95%信頼区間 0.75 to 1.40; P = 0.87 by logistic regression)であった。

結論:
 ARDSに対する人工呼吸管理を要する患者でHFOVの使用は、30日死亡率に有意な影響を与えない。

by otowelt | 2013-01-26 00:05 | 集中治療

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