敗血症時のHESの使用は晶質液・アルブミンと比べて有害

e0156318_13215324.jpg BMJから輸液蘇生におけるHES(Hydroxyethyl starch)のメタアナリシスが出ました。昨年末のNEJMのHESの試験が記憶に新しいですね。

ICUにおけるHESの輸液蘇生は生理食塩水を上回る有益性なし

 少なくともHESにこだわる理由はもはやなさそうです。逐次分析については全く詳しくないので、全て読み飛ばしました。

Nicolai Haase, et al.
Hydroxyethyl starch 130/0.38-0.45 versus crystalloid or albumin in patients with sepsis: systematic review with meta-analysis and trial sequential analysis.
BMJ 2013;346:f839 doi: 10.1136/bmj.f839 (Published 15 February 2013)


目的:
 敗血症患者におけるHES 130/0.38-0.45と晶質液あるいはアルブミンによる輸液治療の効果を、死亡率、腎傷害、出血、重篤な有害事象の観点から比較する。

方法:
 ランダム化比較試験を解析し、システマティックレビューとメタアナリシスをおこなった。データはCochrane Library, Medline, Embase, Biosis Previews, Science Citation Index Expanded, CINAHL, Current Controlled Trials, Clinicaltrials.gov, Centerwatchを2012年9月まで検索した。試験は敗血症のランダム化比較試験で、HES 130/0.38-0.45と晶質液あるいはアルブミンを比較したものを抽出した。出版および非出版試験は、言語や事前規定アウトカムにかかわらず抽出対象として組み込んだ。データは2人の独立したレビュアーがおこなった。リスク比とその95%信頼区間の計算に固定およびランダム効果モデルを使用した。
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結果:
 敗血症に関する9試験・3456患者が登録された。総じて、HES 130/0.38-0.45と晶質液あるいはアルブミンのいずれの群も死亡の相対リスクに寄与しなかった(ランダム効果モデル:リスク比1.04, 95%信頼区間0.89 to 1.22, 3414患者, 8試験)。事前定義された死亡の相対リスクに関するバイアスが低リスクである試験の解析では、リスク比1.11であったが(95%信頼区間1.00 to 1.23,逐次分析(TSA)補正95%信頼区間0.95 to 1.29, 3016患者,4試験、P=0.05; I2=0%)、バイアスの高低リスク別のサブグループ解析では、有意差が確認されなかった(P=0.13)。
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 HES群において、腎代替療法はより多く使用された(リスク比1.36, 95%信頼区間1.08 to 1.72,TSA補正95%信頼区間1.03 to 1.80, 1311患者,5試験)。また、急性腎傷害のリスク比1.18だった(95%信頼区間0.99 to 1.40, TSA補正95%信頼区間 0.90 to1.54, 994患者,4試験)。
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 HES群ではより多くの患者が赤血球輸血を受け(リスク比1.29, 95%信頼区間1.13 to 1.48, TSA補正95%信頼区間1.10 to 1.51, 973患者,3試験)、HES群のより多くの患者が重篤な有害事象を経験した(リスク比1.30, 95%信頼区間1.02 to 1.67, TSA補正95%信頼区間0.93 to 1.83,1069患者,4試験)。赤血球輸血量は両群で有意差はみられなかった(平均差65 mL, 95%信頼区間 −20 to 149 mL, 3試験)。

結論:
 敗血症におけるHES 130/0.38-0.45の使用は、晶質液あるいはアルブミンと比較して腎代替療法や赤血球輸血の必要性を増加させ、より重篤な有害事象を引き起こす。そのため、HES 130/0.38-0.45は敗血症に対して臨床的利益が乏しいと考えられる。


by otowelt | 2013-02-19 00:02 | 集中治療

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