過労では癌にならない?

e0156318_1342487.jpg過労によって生活習慣が乱れると、長期的に発癌のリスクも高まりそうなものですが。

Katriina Heikkilä, et al.
Work stress and risk of cancer: meta-analysis of 5700 incident cancer events in 116000 European men and women.
BMJ 2013;346:f165 doi: 10.1136/bmj.f165 (Published 7 February 2013)


目的:
 労働に関連したストレスが癌全体のリスク、および結腸直腸癌、肺癌、乳癌、前立腺癌のリスクに寄与しているかどうか調べること。

デザイン:
 ヨーロッパ(フィンランド、フランス、オランダ、スウェーデン、デンマーク、イギリス)の12のコホート試験(116056人の男女、17~70歳)でベースラインに癌を有さない患者を中央値12年間フォローアップし、そのデータからメタナリシスをおこなった。
 労働ストレスは、ベースライン時に自己申告されたjob strain(労働負担)で定義された。job strainはContent Questionnaire (JCQ)およびDemand-Control Questionnaire (DCQ)で聴取された。
 癌・入院・死亡登録から抽出された癌の発症は5765人で、結腸直腸癌522人、肺癌374人、乳癌1010人、前立腺眼865人だった。データは、いずれの試験もCox回帰によっておこなわれた。モデルは年齢、性別、社会経済的背景、BMI、喫煙歴、飲酒歴によって補正された。

結果:
 年齢性別補正をおこなった場合、労働ストレスは高いjob strainとjob strainが無い場合を比較しても癌のリスクに有意差はみられなかった(ハザード比)0.95, 95%信頼区間0.88 to 1.02)。また多変量解析においても、労働ストレスは癌のリスクには関連していなかった(ハザード比0.97, 95%信頼区間0.90 to 1.04)。同様に、結腸直腸癌(1.16, 0.90 to 1.48), 肺癌(1.17, 0.88 to 1.54), 乳癌(0.97, 0.82 to 1.14), 前立腺癌(0.86, 0.68 to 1.09)にも関連していなかった。
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 以上のことから、job strainのカテゴリーと癌のリスクを関連づける根拠は同定できなかった。

結論:
 労働に関連したストレスは、結腸直腸癌、肺癌、乳癌、前立腺癌のいずれにおいても重要なリスクとは考えにくい。


by otowelt | 2013-02-21 13:00 | 肺癌・その他腫瘍

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