非嚢胞性線維症の気管支拡張症に対する吸入ドライパウダーマンニトール(ブロンキトール®)の効果

e0156318_224140.jpg 慢性気道感染症を繰り返す気管支拡張症は呼吸器内科医にとっては心底”どうにかコントロールしたい病態”です。
 近年のATSやERSの報告を見ていますと、呼吸器内科医にとってブロンキトール(Bronchitol)®は関心を呼んでいる薬剤の一つだと思います。非嚢胞性線維症に対するブロンキトールのランダム化比較試験の結果がCHESTから報告されています。日常臨床でよく目にする気管支拡張症に対しても効果的であると実証されれば、日本でも使用する日がやってくるかもしれませんね。

Diana Bilton, et al.
A phase III randomised study of the efficacy and safety of inhaled dry powder mannitol (Bronchitol) for the symptomatic treatment of non-cystic fibrosis bronchiectasis
CHEST. 2013 doi: 10.1378/chest.12-1763


背景:
 非嚢胞性線維症の気管支拡張症に対する吸入ドライパウダーマンニトール(DPM)は、粘液クリアランスを促進しQOLを改善するとされている。このスタディの目的は、12週間におよぶDPMの効果と安全性を調べたものである。

方法:
 オーストラリア、ニュージーランド、イギリスの22施設から、胸部HRCTで気管支拡張症がある15歳から80歳の患者が登録された。適格基準として一秒量は予測値の50%以上、1リットル以上あるものとした。この患者群に対して、ランダム化プラセボ対照二重盲検試験をおこなった。マンニトール誘発試験が陰性である患者がランダムにマンニトール(Bronchitol®)320mg(231人)1日2回あるいはプラセボ(112人)1日2回に12週間割り付けられた。さらなる安全性を解析するため、同量・同頻度使用のマンニトールをオープンラベル使用で52週間にわたり観察した。プライマリエンドポイントは、12週時のベースラインからの24時間喀痰重量およびSt George’s Respiratory Questionnaire (SGRQ)スコアとした。

結果:
 マンニトールとプラセボの間で、12週間の喀痰重量に差がみられたが(4.3g、95%信頼区間 1.64~7.00; p=0.002)、これはプラセボ群で喀痰重量が減ったことに由来する。これはすなわち、プラセボ群でより抗菌薬の作用が強く出たため(ベースラインからの変化量)と考えられる。また抗菌薬の使用率もプラセボ群の方が高かった(プラセボ群:50/112 (45%) vs 吸入マンニトール群 85/231 (37%))。
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 合計SGRQスコアでは両群に有意な差はみられなかった(マンニトール:-3.4ポイント、 95%信頼区間-4.81~-1.94 vs プラセボ-2.1ポイント、95%信頼区間-4.12~-0.09、p = 0.304)。
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 生存について両群に差はみられなかった(p=0.2021)。
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 サブグループ解析(82人)において、12週時点でマンニトール群はHRCTで末梢気道の粘液栓がプラセボ群より少なかった(p=0.048)。コンプライアンス率は高く、マンニトール群は忍容性が高くプラセボ群と同等の有害事象であった。

結論:
 プラセボ群では抗菌薬使用によって喀痰量が減るという現象がみられたが、大規模コントロール試験によって長期のマンニトール使用が呼吸器系の増悪や抗菌薬使用へもたらす効果を現在検証している。


by otowelt | 2013-02-28 00:40 | 呼吸器その他

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