結核菌による敗血症性ショックは80%が死亡、24時間以内の抗結核治療が望ましい

e0156318_8241364.jpg 結核を診療している医師は粟粒結核で血液培養を採取したことがあると思いますが、通常の血液培養ボトルではなく抗酸菌のための血液培養ボトルを使用します。それが無い場合、ヘパリン採血をして小川培地で培養する方法もあります。
 当院で採用しているバクテアラート®(ビオメリュー社、左写真)は、付属エンリッチメント液(ウシ血清アルブミン、塩化ナトリウム、オレイン酸、サポニン)と血液5mlを混注して培養します。二酸化炭素の発生による吸光度の変化で機械が判定をおこないます。意外にも結核菌よりも非結核性抗酸菌のほうが感度が高く検出できますが、非結核性抗酸菌症で血液培養を使用することはほとんどありません。

 結核菌血症については以前タンザニアの報告を紹介しました。

タンザニアにおいて結核菌血症の死亡率は50%

 さすがに結核菌による敗血症性ショックに陥ると、その予後は格段に悪化するようです。以下、CHESTの論文をご紹介します。

Shravan Kethireddy, R, et al.
Mycobacterium tuberculosis Septic Shock.
CHEST. 2013 doi: 10.1378/chest.12-1286


背景:
 結核菌(M. tuberculosis)による敗血症性ショックは頻度は少ないが、臨床的によく認識されている病態である。

目的:
 結核菌による敗血症性ショックの臨床的特徴、疫学的リスクファクター、生存期間を細菌性敗血症性ショックと比較する。

方法:
 レトロスペクティブに結核菌による敗血症性ショックと診断されたコホート患者(カナダ、アメリカ、サウジアラビア)を、敗血症性ショックと診断された8670人の患者データベース(1996年から2007年)から抽出した。
 プライマリアウトカムは入所施設への退院も含めた、生存した状態での退院とした。

結果:
 データベースにおいて53人の患者が結核菌による敗血症性ショックと診断され、5419人の一般的な細菌性敗血症性ショックと比較された。結核菌による敗血症性ショック患者群の死亡率は79.2%であり、他の細菌性敗血症性ショック患者群の死亡率は49.7%だった(p<.0001)。
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 結核菌による敗血症性ショックの症例のうち、5人を除く全員が呼吸器系の病変がみられた。55%(53人中29人)の患者が肺外への播種性病変を有していた。
 不適切および適切な経験的初期治療はそれぞれ28人(52.8%)、25人(47.2%)であり、その生存については7.1%および36.0%だった(p=.0114)。10人(18.9%)の患者が抗結核治療を受けておらず、その全員が死亡した。結核菌による敗血症性ショックに対する適切な抗菌薬治療までの中央期間は31時間(IQR 18.9-71.9時間)であった。11人の患者のみが低血圧を認識されてから24時間以内に抗結核治療受けており、そのうち6人(54.5%)が生存した。24時間を超えて抗結核治療を開始した21人の患者のうち1人(4.8%)だけが生存しており、24時間以内の早期治療と比較して有意に予後不良であった(p=.0003 vs <24 hrs)。こういった治療までの時間による生存率差は、その他の細菌による敗血症性ショックでみられる事象と大きく変わらない。
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結論:
 結核菌による敗血症性ショックは、その他の細菌による敗血症性ショックと似たふるまいであり、早期の適切な抗菌薬治療は死亡率を改善させる。


by otowelt | 2013-02-27 00:01 | 抗酸菌感染症

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