重症患者のストレス潰瘍予防にはH2受容体拮抗薬よりもプロトンポンプ阻害薬の方が効果的

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 ストレス潰瘍予防にプロトンポンプ阻害薬かH2受容体拮抗薬を用いるのか、曖昧なエビデンスが多かったように思います。Critical Care Medicineからメタアナリシスが発表されています。

Waleed Alhazzani, et al.
Proton Pump Inhibitors Versus Histamine 2 Receptor Antagonists for Stress Ulcer Prophylaxis in Critically Ill Patients: A Systematic Review and Meta-Analysis.
Crit Care Med 2013; 41:693–705


背景:
 重症患者は、ストレス潰瘍によって重篤な出血をきたすことがある。制酸薬はストレス潰瘍のリスクのある患者によく処方されている。プロトンポンプ阻害薬(PPI)がH2受容体拮抗薬よりもICUの上部消化管出血に対して効果があるかどうかは不明である。

方法:
 Cochrane Central Register of Controlled Trials, MEDLINE, EMBASE, ACPJC, CINHAL, clinicaltrials.gov, ISRCTN Register, WHO ICTRPなどから論文を抽出した。
 選択基準は、2012年3月以前に発表されている、重症患者の上部消化管出血の予防に対するPPIとH2受容体拮抗薬を比較したランダム化比較試験とした。2人の独立したレビュアーが論文およびそのデータを抽出した。
 プライマリアウトカムは、臨床的に重要な上部消化管出血および明らかな上部消化管出血とした。セカンダリアウトカムは院内肺炎、ICU死亡率、ICU在室日数、Clostridium difficile感染症とした。

結果:
 出版バイアスが観察された(Egger’s test = −1.16; 95% CI −1.68~−0.63; p = 0.009)。臨床的に重要な上部消化管出血および顕著な上部消化管出血のいずれのアウトカムパラメータでもfunnel plotに非対象性が観察された。
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 14試験、1720人の患者が登録された。重症患者の臨床的に重要な上部消化管出血に対して、PPIはH2受容体拮抗薬よりも効果的であった(相対リスク0.36; 95%信頼区間0.19–0.68; p = 0.002; I2= 0%)。 同様に顕著な上部消化管出血にも効果的であった(相対リスク0.35; 95%信頼区間0.21–0.59;p < 0.0001; I2=15%)。
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 PPIとH2受容体拮抗薬の間に、院内肺炎(相対リスク1.06; 95%信頼区間0.73–1.52; p = 0.76; I2=0%), ICU死亡率(相対リスク1.01; 95%信頼区間0.83–1.24; p = 0.91; I2= 0%), ICU在室日数(平均差 −0.54日; 95%信頼区間−2.20 ~1.13; p = 0.53; I2= 39%)に差はみられなかった。C. difficileの感染について報告している論文はなかった。

結論:
 重症患者では、臨床的に重要である上部消化管出血および顕著な上部消化管出血の予防においてPPIはH2受容体拮抗薬よりも効果的である。この結論の頑健性は、試験手法や試験の質の高低差、疎データ、出版バイアスの影響を受けているかもしれない。ただし、院内肺炎、ICU死亡率、ICU在室日数に両群に差はみられなかった。


by otowelt | 2013-02-25 00:00 | 集中治療

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