敗血症における細胞傷害と細胞死の関連性

e0156318_23542031.jpg便宜的に、injury=傷害と訳します。敗血症における臓器不全が、コントロールできる病態である希望的結果をもたらすスタディだと思います。

Osamu Takasu, et al.
Mechanisms of Cardiac and Renal Dysfunction in Patients Dying of Sepsis
Am. J. Respir. Crit. Care Med. March 1, 2013 vol. 187 no. 5 509-517


背景:
 敗血症における心臓および腎臓の機能障害のメカニズムの根底は不明である。特に、どのタイプの細胞死がどの程度起こっているのかわかっていない。

目的:
 敗血症による心筋細胞および腎尿細管の傷害および細胞死の程度を検証すること。

方法:
 光学および電子顕微鏡、ストレスマーカーに対する免疫組織化学染色(connexin-43、kidney-injury-molecule-1 :Kim-1)がこの試験で調べられた。

結果:
 敗血症患者の原因として多かったのは人工呼吸器関連肺炎、腹膜炎であった。
 迅速死体解剖で心臓・腎臓が44人の敗血症患者で摘出された。コントロールとなった心臓は12人の移植レシピエントおよび13人の脳死患者のものを使用した。コントロールとなった腎臓は20人の外傷患者および8人の癌患者のものを使用した。
 敗血症およびコントロール患者の平均年齢はそれぞれ67±19歳、48±19歳であった。

●心臓
 免疫組織化学染色では、敗血症患者・コントロール患者ともに心筋細胞は低レベルのアポトーシス(<1~2細胞/1000細胞)であったが、敗血症患者ではconnexin-43 の外側膜への再分布がみられた(P < 0.020)。
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 電子顕微鏡では、敗血症患者の心臓検体でのみ水腫性ミトコンドリアが観察され、コントロール患者および敗血症患者のいずれにおいてもミトコンドリア膜傷害および自己貪食リソソームがみられた。
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●腎臓
 コントロールの腎臓は光学顕微鏡で比較的正常所見であり、20検体中3検体でおよそ1%の腎皮質尿細管の局所的な傷害がみられた。逆に、敗血症患者の腎臓では78%に急性尿細管傷害がみられ、皮髄境界部尿細管の傷害は、光学顕微鏡で10.3±9.5%、Kim-1免疫染色で32.3±17.8%に観察された(P< 0.01)。電子顕微鏡では敗血症患者で尿細管傷害が増加しており、水腫性ミトコンドリアやオートファゴソームも観察された。
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結論:
 敗血症による心筋傷害における細胞死はまれであるが、心筋細胞傷害は起こっている。腎尿細管傷害は敗血症ではよくみられるが局所的であり、ほとんどの尿細管細胞は基本的に正常である。細胞傷害と細胞死の程度は、敗血症による臓器不全の重症度を説明するものではない。


by otowelt | 2013-03-08 00:38 | 集中治療

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