ガイドワイヤーが通った中心静脈カテーテルルーメンからの血液培養はコンタミネーションが多い

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 驚きの臨床試験ですね。何より、臨床試験を組む際の目の付け所がとても素晴らしいと思います。完全に消毒し切れなかった皮膚の常在菌が一番コンタミしやすいのは、ガイドワイヤーが通ったルーメンであることは理解できると思います。

Phillip D. Levin, et al.
Use of the Nonwire Central Line Hub to Reduce Blood Culture Contamination
CHEST 2013; 143(3):640–645


背景:
 中心静脈カテーテル(CVC)を挿入する際の無菌的環境は、CVC挿入辞に採血された血液培養のコンタミネーションの頻度を減少させるかもしれない。しかしながら、過去のレトロスペクティブ試験では経皮的静脈穿刺による血液培養よりもCVCからの血液培養の方がよりコンタミネーションの頻度が多いという結果であった(8% vs 4%)(J Clin Microbiol . 2011 ; 49 ( 7 ): 2398 - 2403.)。今回のスタディでは、CVCでガイドワイヤーが通っていないルーメンを血液培養採取源とすることで、コンタミネーションの頻度を減少することができるかどうか検証した。

方法:
 イスラエルのHadassah Hebrew大学病院の集中治療室におけるプロスペクティブ観察試験を2010年6月から2011年5月までの間おこなった。
 CVC挿入はマキシマムバリアプリコーションでおこなわれ、消毒には70%イソプロピルアルコール・2%クロルヘキシジンを用いた。超音波で静脈を同定する場合には、プローブカバーを無菌操作で使用した。血液培養は、処置が終了したときに採取された。CVC挿入処置をおこなった医師が20mLシリンジを用いて採取した。採取された血液培養は看護師に手渡され、ボトル刺入口をアルコール綿で払拭したBACTEC-Plusボトル(Becton, Dickinson and Company)に看護師が注入した。
 CVCカテーテルは5種類のルーメンに分類された。そのうち1つは抗菌薬浸透ルーメンであった。
・7FトリプルルーメンARROWg1ard Blue Multi-Lumen Central Venous Catheter CS-25703-E (Telefl ex Inc)
・16Gシングルルーメンカテーテル(Arrow Central Venous Catheter ES-04301; Telefl ex Inc)
・11.5F透析カテーテル(Covidien MAHURKAR Acute Dual Lumen Catheter Kit; Covidien AG)
・8.5Fスワンガンツカテーテル(Introfl ex 1650-BF-85, Edwards Lifesciences LLC)
・8F輸血用カテーテル(Biometrix Critical Care Solutions BV)

 ガイドワイヤーが通ったCVCカテーテルからの血液培養とガイドワイヤーが通っていないカテーテルからの血液培養において、コンタミネーションおよび病原微生物について比較された。血液培養のコンタミネーションのリスク因子を同定し、血液培養コンタミネーションの独立予測因子のための多変量解析が行われた。
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結果:
 139人の患者からの227のCVCから採取された313の血液培養が解析された。当初採血された325の培養のうち、12が採取ルーメンの記録不備のため除外された。
 141のガイドワイヤー血液培養のうち27(19%)および172の非ガイドワイヤー血液培養のうち9(5%)がコンタミネーションを起こした( P<.001)。血液培養のコンタミネーションは、コアグラーゼ陰性黄色ブドウ球菌(27培養)、Propionibacterium属(7培養)、Lactobacillus属(2培養)の内訳であった。敗血症を疑われて採取された頻度は、非ガイドワイヤー血液培養群の方が多かった(p=0.039)。
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 多変量解析において、血液培養が採取されたルーメンはコンタミネーションに関連していた(OR, 4.3; 95% CI, 1.9-9.5;P<.001)。真の病原微生物は141のガイドワイヤー血液培養のうち19(13%)で検出され、172の非ガイドワイヤー血液培養のうち27(16%)で検出された( P=.581)。
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結論:
 ガイドワイヤーに曝露されたCVCルーメンから採取された血液培養は、ガイドワイヤーが通っていないルーメンから採取された血液培養と比較して高頻度にコンタミネーションを起こすことがわかった。ただ、病原微生物の同定には有意差はなかった。血液培養のコンタミネーションが与える悪い影響を減らす意味合いでも、血液培養はガイドワイヤーが曝露していないCVCルーメンから採取すべきであろう。


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by otowelt | 2013-03-07 00:10 | 集中治療

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