エサンブトールによる視力障害の頻度は2.25%

e0156318_16432438.jpg 視力障害のことを話すと、エサンブトールを内服して3日目くらいに「何だか目がぼやける」とおっしゃる患者さんがいらっしゃいますが、月単位の内服でないと出現しない副作用なので、さすがにプラセボ効果だろうと思います。
 エサンブトールによる視力障害については4年近く前にブログに書いたことがあります。
エサンブトール視神経症

The International Journal of Tuberculosis and Lung Diseaseから、EBによる視力障害のレビューが出ました。

N. Ezer, et al.
Incidence of ethambutol-related visual impairment during treatment of active tuberculosis
INT J TUBERC LUNG DIS 17(4):447–455, 2013.


背景:
 近年のWHOガイドラインでは、エサンブトール(EB)を新規の活動性結核患者の標準治療に加えることで、イソニアジド耐性の頻度を減少させ、多剤耐性化の予防に有効であると推奨されている。しかしEBに曝露されることで、患者には視力障害のリスクが起こりうるとされている。
 われわれは以下の疑問を解決すべく本調査をおこなった。
1. 活動性結核治療におけるEB使用の一過性および永続的な視力障害はどのくらいの頻度で起こるのか?
2. 患者の年齢、EBの用量・使用期間を含む異なる共変量は、EB関連視力障害へどういた効果をもたらすか?
3. EB関連視力障害と診断された患者の回復するタイミングは?

方法:
 われわれは、Cochrane、Embase、PubMedデータベ-スを1965年から2011年の2月まで調べ、活動性結核患者に対するEB使用をプロスペクティブに観察した試験を抽出した。文献は、英語、フランス語、スペイン語とした。

結果:
 5042人の患者のうち102人がEBによる視力障害を起こし、EBを開始して平均4.7±2.0ヶ月後であった。EBを使用した患者の視力障害の頻度は1000人中22.5人であった(95%CI 10.2–35)。永続的な障害は1000人中4.3人であった(95%CI 0.3–9.0)。EB使用量45mg/kg/日の試験が1つあり、これは高い視力障害をきたした。EBの平均使用量27.5 mg/kg/日以下(治療期間が2~9ヶ月)の試験に限定すると視力障害は1000人中19.2人であった(95%CI 5.8–33)。永続的な障害は1000人中2.3人であった(95%CI 0–6.1)。
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 年齢による関連性はみられなかったが、腎障害などのサブ解析はそもそも登録されていない患者群であるため結論はつけられない。
 永続的あるいは可逆性の視力低下は1000人中25.7人(95%CI 5.2–46)、色覚異常は1000人中15.2人(95%CI 0–33)、視野障害は1000人中14.8人(95%CI 0.5–29.1)にみられた。可逆的な視力障害のケースでは、平均4.3ヶ月後に回復がみられた(それぞれ試験のアーム数が変わっているので注意)。
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結論:
 このレビューでは、視力障害はEB治療患者1000人中22.5人に起こると考えられ、永続的な障害も含まれていることから重要なリスクとして考えるべき病態であろう。しかしながら、これらの推定は不明確であり、スタディごとの質もばらつきがあり結果も不均一である。よりデザインされたプロスペクティブ試験で、複数の視力パラメータを用いた試験が望まれる。


by otowelt | 2013-03-10 00:02 | 抗酸菌感染症

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