50%ブドウ糖液による胸膜癒着術は気胸に対して有望

e0156318_12523953.jpg 気胸に対する胸膜癒着術として、50%ブドウ糖液を使用するアイディアが最近注目されています。自己血同様に副作用がきわめて少ないため、ミノサイクリンやタルクよりも安全性は高いと思います。
 胸膜癒着術については当ブログでもレビューを書いています。

胸膜癒着術

 現在PubMedで検索して臨床試験がおこなわれているのは、日本の呼吸器外科の先生の論文2つのみです。素晴らしいアイディアだと改めて思います。2文献紹介します。

Tsukioka T, et a. Pleurodesis with a 50% Glucose Solution in Patients with Spontaneous Pneumothorax in Whom an Operation is Contraindicated. Ann Thorac Cardiovasc Surg. 2012 Dec 26. [Epub ahead of print]

目的:
 胸膜癒着は気胸マネジメントの中心的役割を果たしている。われわれの施設では、50%ブドウ糖液を胸膜癒着術に使用している。われわれは自然気胸の患者で、基礎疾患のために手術不能と判断された場合にこれを用いた。レトロスペクティブにその効果を解析した。

方法:
 自然気胸患者18人のうち13人に対して50%ブドウ糖液による胸膜癒着術がおこなわれた。局所麻酔ののち、壁側胸膜に200~500mlのブドウ糖液を胸腔内に注入した。胸膜癒着術はエアリークが消失するまで2~3回おこなわれた。

結果:
 全例でエアリークが消失し、治療関連死は観察されなかった。治療1,2,3年後の生存率はそれぞれ83%, 74%, 49%であった。治療後再発は6例にみられた。4例が胸膜癒着術後の再発だった。すべての再発例は胸膜癒着術後3ヶ月以内にみられた。
 血糖値は361±46 mg/dLまで上昇したが、その後徐々に減少していった。
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結論:
 自然気胸患者に対する50%ブドウ糖液による胸膜癒着術は効果的で安全である。この処置は再発性気胸や初回気胸でエアリークが長引くと予測されるケースで実施できるだろう。



Tsukioka T, et al. Intraoperative mechanical and chemical pleurodesis with 50 % glucose solution for secondary spontaneous pneumothorax in patients with pulmonary emphysema. Surg Today. 2013 Jan 31. [Epub ahead of print]

目的:
 二次性の自然気胸は肺気腫のある患者で重篤な病態である。再発を防ぐため、ブラ切除に加えて術中の胸膜癒着術をおこなうことがある。ブラ切除に追加的におこなった50%ブドウ糖液による胸膜癒着術の治療プロセスと効果について報告する。

方法:
 登録患者は20人(男性19人、女性1人、平均年齢68歳)で、肺気腫関連の気胸症例とした。ブラ切除ののち、500mLの50%ブドウ糖を胸腔内に注入し、アブレーションの機械的癒着もおこなった。

結果:
 胸水は術後1日目に減少し、発熱は術後2日目におさまった。血糖は術日に上昇したが、術後1日には減少した。平均術後フォローアップ期間は521日であった。術後24日目に1人が肺炎で死亡した。他の患者は気胸再発がみられることなく生存した。

結論:
 肺気腫関連の気胸に対するわれわれの治療プロセスの効果を提示した。術後気胸の再発がみられなかったことから、50%ブドウ糖による胸膜癒着術は再発予防に効果的と考えられる。


by otowelt | 2013-03-16 00:04 | 呼吸器その他

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