心肺蘇生に家族が立ち会うことの意義

e0156318_17111674.jpg 愛する家族への心肺蘇生に立ち会った家族のほうが、立ち会わなかった家族よりも心的外傷後ストレス障害症状が少なかったというNEJMからの報告です。
 皆さんは立ち会いたいですか、それとも立ち会いたくないですか。

Patricia Jabre, et al.
Family Presence during Cardiopulmonary Resuscitation
N Engl J Med 2013; 368:1008-1018, March 14, 2013


背景:
 心肺蘇生(cardiopulmonary resuscitation:CPR)への家族の立ち会いが家族や医療チームに与える影響について、意見が分かれている。

方法:
 フランスの15の病院で2009年11月から2011年10月までおこなわれたクラスターランダム化試験である。在宅で心停止を起こし、病院到着前CPRを受けた患者家族570人を本試験に登録した。家族にCPRに立ち会う機会を組織的に提供する群と、家族の立ち会いに関して標準的な方法に従うコントロール群のいずれかにランダムに割り付けた。
 CPR後90日目にImpact of Event Scale (IES)およびHospital Anxiety and Depression Scale (HADS)を用いてアンケート・電話で家族のスコアリングをおこなった。
 プライマリエンドポイントは、90日目に心的外傷後ストレス障害(PTSD)の関連症状(IES 30点以上)を有する家族の割合とし、セカンダリエンドポイントは、不安・抑うつ症状(HADS 10点以上)、家族の立ち会いそのものが現場のCPR努力に与える影響、医療チームの満足度、法医学的な損害賠償請求の発生など。
 なお、ここで定義する家族とは第一親等の人間のみとした。

結果:
 立ち会い介入群では家族266人中211人(79%)がCPRに立ち会ったのに対して、コントロール群では304人中 131人(43%)がCPRに立ち会った。
 95人の家族(17%)がIES解析に同意しなかったため、残りの475人が感度解析に組み込まれた。
 ITT解析では、PTSD関連症状はコントロール群のほうが立ち会い介入群よりも有意に高く(補正オッズ比1.7、95%信頼区間1.2~2.5、P=0.004)、CPRに立ち会わなかった家族のほうが立ち会った家族よりも有意に高かった(補正オッズ比1.6、95%信頼区間1.1~2.5、P=0.02)。
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 CPRに立ち会わなかった家族で不安と抑うつの症状が高頻度にみられた。家族の立ち会いのもとでのCPRは、蘇生内容、患者生存、医療チームの心理的ストレスレベルに影響せず、法医学的な損害賠償請求は発生しなかった。
 なお、これら両群における患者アウトカム(自発循環の再開、生存した状態での入院、28日生存率)に差はみられなかった(それぞれp=0.59, 0.42, 0.64)。

結論:
 患者のCPRへ家族を立ち会わせることは、心理学的パラメータにおける良好なアウトカムに関連し、蘇生内容の障害や医療チームのストレスが増大することもなかった。


by otowelt | 2013-03-15 00:46 | 救急

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