クリゾチニブは脳転移にも効くのか?

 実際にクリゾチニブが脳転移に効いている実例があるので、効果をもたらす例があるのは確実です。EGFR-TKIと同じく、血液脳関門の通過は乏しいものの、スーパーレスポンダーの患者さんがおられるのだろうと思います。
 ちなみに、血清のクリゾチニブ濃度が0.53μmol/Lであるにもかかわらず、髄液中の濃度はたった0.0014μmol/Lしかなかったという2011年の報告があります。
Costa DB, et al. CSF concentration of the anaplastic lymphoma kinase inhibitor crizotinib. J Clin Oncol 2011;29:e443–e445.
 JTOが、相反する2例を4月号に掲載していました。


Kaneda H, et al.
Rapid Response of Brain Metastasis to Crizotinib in a Patient with ALK Rearrangement–Positive Non–Small-Cell Lung Cancer
Journal of Thoracic Oncology: April 2013 - Volume 8 - Issue 4 - p e32–e33


 非喫煙者の56歳女性が左鎖骨上窩リンパ節腫大を主訴に来院し、非小細胞肺癌(T1N3M0 stage IIIB)と診断された。放射線化学療法を受けたが、その後脳転移で再発がみつかった。これに対してガンマナイフ治療をおこなった。しかしながら、さらにその後PET検査でリンパ節腫大が悪化した。腫瘍細胞はEGFR遺伝子変異がみられなかったものの、ALK再構成が確認された。そのため、クリゾチニブ250mg1日2回の投与を開始した。クリゾチニブ開始前にみられた脳転移巣の縮小と脳浮腫の軽減が確認された。クリゾチニブ開始から11ヶ月後も完全寛解を維持している。
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Maillet, Denis, et al.
Ineffectiveness of Crizotinib on Brain Metastases in Two Cases of Lung Adenocarcinoma with EML4-ALK Rearrangement
Journal of Thoracic Oncology: April 2013 - Volume 8 - Issue 4 - p e30–e31


 病期IVの肺腺癌の45歳男性は、セカンドライン治療後に増悪(原発巣、胸水、肝臓、多発性骨転移)がみられた。ALK再構成がみられたため、クリゾチニブ250mg1日2回が開始された。治療開始後、骨痛が軽減した。治療後の検査で、頭蓋内以外の病変はすべて軽快した。しかしながら、MRIで脳転移は悪化していた。
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 サードライン治療後に悪化がみられた病期IVの肺腺癌の56歳男性は、無症状の多発性脳転移を有していた。腫瘍にALK再構成がみられたため、クリゾチニブ250mg1日2回の投与をおこなった。治療4週間後、癌性リンパ管症や癌性腹水の軽快がみられたものの、脳転移巣は悪化していた。


by otowelt | 2013-03-18 13:09 | コントラバーシー

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