医師と看護師の喫煙率

e0156318_10101938.jpg●はじめに
 『平成23年国民健康・栄養調査結果の概要』によれば、現在習慣的に喫煙している国民は20.1%で、性別では男性32.4%・女性9.7%とされています。男性の喫煙率は先進国の中で飛びぬけて高いです。
 では、医師・看護師の喫煙率はどのようになっているのでしょうか。限られたデータではありますが、少し調べてみました。

●医師の喫煙率
 日本医師会は4年ごとに喫煙率の調査をおこなっています(私は回答した記憶はないのですが・・・)。それによれば、2000年の時点では高い喫煙率(男性27.1%・女性6.8%)でしたが、2012年の第4回日本医師会員喫煙意識調査実施によれば、喫煙率は男性12.5%・女性2.9%と低下しています。すなわち、日本の医師の喫煙率は男女ともに国民の平均喫煙率の半分以下ということになります。
 数値だけみれば、まだまだ高いと思います。
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 診療科別の喫煙率では、さすがに呼吸器科が最も少ない喫煙率です。肌に対する影響を知っているためか、皮膚科医の喫煙率もかなり低いものです。外科系と精神科は喫煙率が高い傾向にあります。なぜか、救急に関しては見つかりませんでした。
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 医師が喫煙する要因として、男性であること、60歳代、月4回以上の夜勤・当直があること、毎日の飲酒習慣があること、運動習慣がないことが挙げられます。ちなみに、海外の報告でも救急医の喫煙率が高いという報告があります。
El-Khushman HM, et al. Cigarette smoking among health care workers at King Hussein Medical Center. J Hosp Med. 2008 May;3(3):281-4.
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●看護師の喫煙率
 日本看護協会は、2001年、2006年に喫煙の調査をおこなっておりますが、2006年時点で喫煙率は18.5%と報告されています。しかし、調べた限りではこれ以降調査結果は開示されておらず、現時点での喫煙率は不明です。そのため、2006年のデータのみで比較すると、医師の喫煙率とそこまで大きく変わらないかもしれません。
 多くの報告では看護師の方が医師よりも喫煙率が高いと考えられていますが、国によって勤務形態や職業範疇も異なるため、あまり他国の報告はあてにならないかもしれません。
・Ravara SB, et al. Smoking behaviour predicts tobacco control attitudes in a high smoking prevalence hospital: a cross-sectional study in a Portuguese teaching hospital prior to the national smoking ban. BMC Public Health. 2011 Sep 23;11:720.
・Sarna L, et al. Are health care providers still smoking? Data from the 2003 and 2006/2007 Tobacco Use Supplement-Current Population Surveys. Nicotine Tob Res. 2010 Nov;12(11):1167-71.
・Jones TE, et al. Smoking prevalence and perspectives on smoking on campus by employees in Australian teaching hospitals. Intern Med J. 2012 Mar;42(3):311-6.

 ちなみに、国によっては看護師よりも医師の方が圧倒的に喫煙率が高い国もあります。
Movsisyan NK, et al. Smoking behavior, attitudes, and cessation counseling among healthcare professionals in Armenia. BMC Public Health. 2012 Nov 24;12:1028.
 日本看護協会から診療科別のデータは公表されていませんが、喫煙率が低いとされているニュージーランドでは精神科に勤務する看護師の喫煙率が最も高いという報告があります。
Edwards R, et al. Low and declining cigarette smoking rates among doctors and nurses: 2006 New Zealand Census data. N Z Med J. 2008 Oct 17;121(1284):43-51.
 過去の看護研究から、「看護業務のストレス=喫煙」という短絡的な図式が成り立つわけではなさそうですが、不規則な勤務体系がその一助になっている可能性は十分にあります。
川中淑恵ら. 病院勤務看護師の健康状態. 日看管会誌 13; 1:84-91, 2009.
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 看護師を対象とした研究の主要な知見を、まとめて表にしている文献がありましたので、改変転載させていただきます。この研究によれば、まだ仕事についていない看護学生が学生時代にすでに高い率で喫煙していることが示されています。
島井哲志ら. 日本における看護師と看護学生の喫煙行動とストレスについての検討. 禁煙科学 5:P1-P11, 2011.
 日本医師会立看護等学校の看護学生31124人を対象にした調査では、喫煙率は女子15.8 %、男子35.8%、全体で19.6%でした。25歳~30歳の喫煙率は高く、女子23.9% 、男子45.1%にのぼりました。
江口成美. 看護学生の喫煙の現状と対策 医師会立看護学校学生調査より. 日医総研 日医総研ワーキングペーパー, No.276.
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by otowelt | 2013-03-31 11:04 | その他

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