妥当な一秒率の使用:一秒率70%未満と一秒率正常下限5パーセンタイルの比較

 年齢別のパーセンタイルを見るには何かしらのツールが必要になるので、実臨床的には一秒率70%未満を使用する方が望ましいように思います。

Surya P Bhatt, et al.
Comparison of spirometric thresholds in diagnosing smoking-related airflow obstruction
Thorax Online First, published on March 23, 2013 as 10.1136/thoraxjnl-2012-202810


背景:
 COPDの診断において呼吸機能検査における気流制限:airflow obstructionは重要な所見である。診断は現在一秒率(FEV1/FVC)によっておこなわれているが、年齢によってこの比率は変化するのではないかという意見もある。GOLDはCOPDにおける気流制限の定義を、気管支拡張薬使用後の一秒率が70%未満であると規定している。ATS/ERSは、年齢によって調整した正常下限を下回る場合に気流制限があると判断したほうがいいのではないかと提唱している(Eur Respir J 2005;26:319–38.)。彼らは、正常下限をNational Health and Nutrition Examination Survey (NHANES) IIIコホートで得られた5パーセンタイルと定義している( Am J Respir Crit Care Med 1999;159:179–87.)。この計算によれば年齢や性別によって正常下限が移動することになる。縦断的試験では、これら2方法は同等であるとしている。
 われわれは、GOLDが推奨する一秒率基準と調整正常下限の精度と差を比較した。

方法:
 多施設共同試験で、気流制限のない現喫煙者と喫煙歴のある被験者(45~80歳)が登録された。一秒率70%未満の基準と一秒率5パーセンタイルの年齢別基準の間の呼吸機能検査の一致率が調べられた。両群とも陰性であった喫煙被験者は気流制限なしと判断した。
 気腫およびエアトラッピングはCTを用いて判断された。低吸収域の面積で判断し、気腫はLAA950insp.のカットオフ値を10%、15%の2種類、エアトラッピングはLAA856exp.15%超に設定した。

結果:
 7743人の被験者が登録された。呼吸機能検査カットオフ値での双法の一致率は高かった(κ=0.85; 95% CI 0.83 to 0.86, p<0.001)。7.3%が不一致であった。一秒率70%未満の定義で気流制限のある被験者は、正常下限定義で気流制限のある被験者と比較すると、気腫の程度や(4.1% vs 1.2%, p<0.001)、エアトラッピング(19.8% vs 7.5%,p<0.001)がよくみられた。喫煙者で気流制限のない被験者でも、一秒率70%未満の定義の方が気腫の程度やエアトラッピングが観察された(4.1% vs 1.9%, 19.8% vs 10.9%, p<0.001)。
 コホート全体では、気腫は一秒率70%未満の基準の場合感度が高く、正常下限の定義の場合は特異度が高かった。
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 総じて、CTでの気腫同定と呼吸機能検査の一秒率との一致率は低かった。
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 また、一秒率定義で気流制限のある被験者は喫煙者で気流制限のない被験者よりも急性増悪を起こしやすかった。

結論:
 一秒率70%未満の基準を用いた場合と比較して、5パーセンタイル正常下限を用いた基準では、高齢であるほど一致率は低いものの、両方ともおおむね一致はしていた。CT検査における判断と呼吸機能検査は一致していなかった。総じて、正常下限の基準を用いた場合高齢者ではより特異度が高くなるものの、有症状およびCTでの気腫性病変を有する患者の多くは同定できなかった。


by otowelt | 2013-03-28 00:24 | 呼吸器その他

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