COPD患者の吸入ステロイド使用は肺結核のリスクを上昇

e0156318_9262694.jpg 吸入ステロイドと結核に関する韓国からのレトロスペクティブ試験の報告です。肺尖部に陳旧性の陰影があるCOPD患者では吸入ステロイドの使用に注意した方がよさそうです。

Jung-Hyun Kim, et al.
Inhaled Corticosteroid Is Associated With an Increased Risk of TB in Patients With COPD
CHEST 2013; 143(4):1018–1024


背景:
 経口ステロイドやTNF-α阻害薬の使用が結核のリスクを上昇させることはよく知られている(Am J Respir Crit Care Med. 2000;161(4pt2):S221-S247、Arthritis Rheum. 2006;55(1):19-26.、Cochrane Database Sys Rev. 2011;(2):CD008794.)。しかしながら、吸入ステロイドの使用が結核のリスクを上昇させるかどうかはわかっていない。われわれはこのスタディで、放射線学的に肺結核後遺症の存在があるかどうかに基づいて、吸入ステロイド使用者と肺結核のリスクを検証した。

方法:
 韓国南部、城南(ソンナム)大学病院においてレトロスペクティブコホート試験がおこなわれた。2000年1月1日から2005年12月31日までの間に合計778人のCOPD患者が登録された。これらのうち163人は、除外基準によって登録から除外された。残りの616人が2010年12月31日までフォローアップされた。
 患者は吸入ステロイドの使用および放射線学的な肺結核後遺症の有無に基づいて4群に分けられた。すなわち、1.肺結核後遺症を有する患者で吸入ステロイドを使用しているもの、2.肺結核後遺症を有する患者で吸入ステロイドを使用していないもの、3.肺結核後遺症がない患者で吸入ステロイドを使用しているもの、4.肺結核後遺症がない患者で吸入ステロイドを使用していないもの。
 放射線学的には、“結核の根拠なし”、”活動性肺結核”、”結核後遺症”の判定を用いた。判定者には吸入ステロイドの使用についての情報は提示しなかった。
 肺結核の診断は、培養で結核菌が検出された場合、TB-PCRが陽性であった場合、インターフェロンγ遊離アッセイが陽性で胸部画像上合致する場合、胸水がリンパ球優位でADA40 IU/Lを超える場合、臨床診断のもと抗結核薬を内服し画像上軽快がみられた場合、TB-PCRの有無を問わずに生検で乾酪壊死を伴う肉芽腫が検出された場合、とした。

結果:
 患者の平均年齢は65.4±10.9歳で、フォローアップ中央日数は1126日であった。合計20人が肺結核を発症した。そのうち培養で菌が検出されたのは13人で、結核性胸膜炎のみであったのは1人だった。
 Kaplan-Meier法では、放射線学的に肺結核後遺症を有する患者で吸入ステロイドを用いると肺結核のリスクが上昇した(P<.001)。
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 多変量Cox回帰分析では、胸部画像上性状である患者での吸入ステロイドの使用は肺結核の独立リスク因子で(ハザード比9.079; 95%信頼区間, 1.012-81.431; P=.049)、肺結核後遺症を有する患者でも同様にリスク因子であった(ハザード比24.946; 95%信頼区間, 3.090-201.365; P=.003)。
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結論:
 COPD患者における吸入ステロイドの使用は肺結核のリスクを上昇させる。これは特に、胸部画像で肺結核後遺症を有する患者に顕著なリスクである。


by otowelt | 2013-04-04 00:31 | 気管支喘息・COPD

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