気胸のエアリークの同定に生食注入CTが有効

 日本からの報告ですが、これは本当にすばらしい思います。50%ブドウ糖液による胸膜癒着もそうですが、外科医の先生方の発想には独創性があると思います。筆者らによって、この新しい手法は"saline-filled CT thoracography”と命名されています。

Kozo Nakanishi, et al.
A new method to detect air leakage in a pneumothorax patient using saline solution and multidetector-row spiral computed tomography
Chest. 2013. doi:10.1378/chest.12-2678


背景:
 このスタディの目的は、生理食塩水と発声によって自然気胸のエアリークの検出と部位の同定をおこなう新しいCT手法を確立することである。

方法:
 本試験は、2010年10月から2012年9月までの間、国立病院機構埼玉病院でおこなわれた。
 11人の自然気胸の患者が、胸腔ドレーンを留置された後の持続的なエアリークのために手術を受けた。単純胸部CTを撮影したのち、0.9%食塩水500mlが胸腔内に注入された。そして、CTは患者が発声している間に再度撮影された。CT所見は2人の胸部外科医によって観察された。
 全ての患者は、エアリーク部位同定のためと気胸の治療のために胸腔鏡下手術(VATS)をおこなわれた。実手術前にエアリークテストがおこなわれた。

結果:
 11人のうち、9人が男性、2人が女性であった。また、右気胸が7人、左気胸が4人だった。年齢は50.0±25.3歳(range: 13-83)で、原発性気胸が6人、続発性気胸が5人だった。エアリークはグレード2が9人、グレード3が2人だった。エアリークのグレードは以下の如く分類した。
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 ”バブル”の陰影が11人中9人に観察された。これら9人のうち7人が多発性のバブルである”泡沫”あるいは”波状”の陰影であった。
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▲A:”泡沫”、B:”波状”、C:手術時のエアリークテスト
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▲A:”波状”、B:”泡沫”

 多くの症例は、小さな瘻孔であったが、他の2症例は大きな瘻孔がみられ、”ブラ内の液面形成”およびスリガラス影が肺実質に観察された。このスリガラス影は、生理食塩水を吸引した像を反映していると考えられた。
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▲生理食塩水を吸引した肺実質のスリガラス影

 11症例すべてにおいて、エアリークを示唆する徴候がCTで観察され、CTで責任部位の存在が推定され、これらは手術時のエアリークテストで確認された。

結論:
 生理食塩水を注入し発声することで、CTによって自然気胸患者のエアリークの徴候を同定することができる。この手法は造影剤や特別な器具や高度な技能を必要としない、自然気胸の責任部位を同定するための革新的で有用な検査であろう。


by otowelt | 2013-04-09 00:57 | 呼吸器その他

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