学会の地方会の演題名はなぜ「・・・の1例」なのか?

●はじめに
 まず、この内容は決して批判めいたものではなく素朴な疑問として書いたものです。
 医学論文では、症例報告と原著論文には大きな差があるとされていますが、これは学会発表でも同じです。学会発表は、総会レベルであるほど原著報告が多くなり、地方会レベルであるほど症例発表が多くなります。そのため、地方会の演題プログラムを見ているとほとんどが「・・・の1例」という演題名になっています。いつも気になるのが、「・・・の症例」でも「・・・の報告」でもなく「・・・の1例」なのです。
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 原著形式の場合、1例報告ではないので、演題名が「・・・の1例」とはなりません。「・・・の検討」「・・・の検証」など様々なバラエティがあります。
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 学会発表における暗黙のルールは医学会だけでなく獣医学会も同様の傾向があるようです。「・・・の猫の1例」「・・・の犬の1例」といった形で発表されることが多いようです。

●聴衆を惹きつけるタイトルはだめなのか?
 そのため、あくまで個人的な意見ですが、たとえ症例発表であっても「・・・の1例」という終わりにしなくてもよいと思うのです。そのようなルールはどの学会の演題登録規定にもありません。
 スモールライトで急性副腎不全がみられたという症例報告を発表したとしても、たとえば「スモールライトによる急性副腎不全」というタイトルで問題はないように思えます。「急性副腎不全はスモールライトによって起こりうるか!?」「スモールライトが副腎に与えた影響」という魅力的なタイトルでも問題はないと思います。もちろん発表内容は、しっかりと学会で討議するに値するものであるべきですが、聴衆が面白さを感じるきっかけはやはりタイトルだと思うのです。海外の学会などはどちらかといえば、タイトルは聴衆を惹きつけるものが多く、小さな会合だからといって全ての演題が「A case of ・・・」で始まるわけではありません。

●日本の学会文化の歴史
 日本の学会はどちらかといえば形式を重んじる風潮が根強いため、海外のようにユニークなタイトルにできるような雰囲気がありません。言葉遊びとまではいかなくても、タイトルでネタばらしをしないような発表形式の方が面白いのになぁと個人的には思います。最初から急性副腎不全とわかって発表を聞くのと、何の診断かわからずに発表中に急性副腎不全だと分かるのでは、後者の方が面白いと思うのですが。
 私も学会の地方会で発表することがあります。結局のところ郷に入れば郷に従う性格なので、「・・・の1例」という演題名になることが多いです。


※登場する学会演題名、演者名はすべて架空のものです。


by otowelt | 2013-04-14 10:10 | その他

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