ICUにおける悪性肥満低換気症候群(MOHS)の臨床的特徴

e0156318_2152932.jpg 呼吸器科的にはステロイドを内服している患者さんでこのMOHSのような病態に出会うことがあります。ステロイドを内服するきっかけが気管支喘息だったりすると、人工呼吸管理が非常に難しくなります。
 もともと肥満の患者さんは胸郭コンプライアンスがとても低いので圧損傷の原因にもなりますし、かといって不十分な換気をしていると背側が無気肺になります。

Paul E. Marik, et al.
Characteristics of Patients With the “Malignant Obesity Hypoventilation Syndrome” Admitted to an ICU
J Intensive Care Med, March/April 2013 vol. 28 no. 2 124-130


背景:
 西洋諸国における肥満の頻度は驚くべきほど増加の一途をたどっている。われわれは、肥満による高炭酸ガス血症および多臓器不全で入室した自施設のICUの多くの患者を登録した。
 この病態を悪性肥満低換気症候群:malignant obesity hypoventilation syndrome (MOHS)と名づけた。

方法:
 われわれはICUに入室した8ヶ月にわたる、BMI40kg/m2以上でPaCO2が45mmHg以上である全ての患者をレビューした。筋骨格系疾患の患者、内因性肺疾患の患者、喫煙歴が20pack-yearを超える患者は除外した。

結果:
 61人の患者(入室者全体の8%)がわれわれの試験の適格基準を満たした。患者の平均BMIは48.9 ± 8.6 kg/m2であった。平均年齢は59 ± 11歳で、47人(77%)が女性で、56人(92%)が黒人だった。全ての患者はICUにII型呼吸不全のために入室となった。患者は過去2年間に平均6回入院していた。75%の患者は謝ってCOPDや気管支喘息と診断されて治療を受けており、86%はうっ血性心不全として利尿薬で治療を受けていた。3人の患者が気管切開を入院時に受けており、人工呼吸管理を要した。残りの全ての患者は非侵襲性陽圧換気(BiPAP)を受け、23人はこれに失敗し人工呼吸管理を要することとなった。7人の患者は気管切開を入室後に施行された。
 説明できない肝機能障害がみられたが、39人(64%)の患者はNASHと仮診断された。呼吸機能は全ての患者で拘束性換気障害を呈していた。心臓超音波検査では43人(71%)が左室肥大を呈しており、37人 (61%)は左室拡張不全の徴候がみられた。47人(77%)に肺高血圧がみられ、25人は中等度から重度の肺高血圧であった(肺動脈収縮期圧 >45 mmHg)。全ての患者はCRPが高く(9.4 ± 6.9 mg/dL)、1人を除いて全員がビタミンD欠乏症だった(13.5 ± 8.5 ng/mL)。11人(18%)の患者は、当該入院中に死亡した。

結論:
 MOHSは、死亡率の高い重篤な多臓器の障害である。比較的頻度が多く、時に誤診ののちに誤った治療が行われる病態である。


by otowelt | 2013-04-18 00:07 | 集中治療

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