妊娠中の長時間作用型β2刺激薬および低用量吸入ステロイド薬の使用は胎児の発育へ悪影響なし

e0156318_175567.jpg ときに妊婦の気管支喘息が紹介されることがあります。リスクを最優先した治療選択の場合、FDA分類にのっとってブデソニド(パルミコート®タービュヘイラー)を使用しています。個人的には、よほどコントロール不良か重症でなければ長時間作用型β2刺激薬は併用しないようにしていました。
 妊婦に限らず軽症からLABAとの合剤を使用しているケースをよく目にしますが、基本的に中等症以上のケースでやむなく使用するスタンスでいるべきだと思います(J Allergy Clin Immunol 2005;115:34–46.)。
 Thoraxのonline firstから、胎児の出生体重に関するスタディが報告されています。

Benoit Cossette, et al.
Impact of maternal use of asthma-controller therapy on perinatal outcomes
Thorax doi:10.1136/thoraxjnl-2012-203122


背景:
 妊娠中の気管支喘息は通常長期管理薬治療を必要とする。このスタディの目的は、長時間作用型β2刺激薬(LABA)の使用および吸入ステロイド薬の用量が妊娠中の低出生体重児(LBW)、早産(PB)、胎児発育遅延:small for gestational age(SGA)に与える影響を調べることである。

方法:
 本試験は、カナダのケベック州の入院データベース(the Régie de l’assurance-maladie du Québec and the MED-ECHO databases)において1998年から2008年までに出産した気管支喘息の女性コホートを用いておこなわれた。試験の適格基準は45歳以下の女性で、単胎であることとした。また、1回以上気管支喘息として診断登録され、1回以上気管支喘息の治療薬を使用されていることを条件とした。吸入ステロイド薬を用いずにLABA単独使用のケースはすべて除外した。
 LBWは出生体重2500g未満と定義され、PBは37週以前の出生、SGAは出生体重が10パーセンタイル以下とした。吸入ステロイド薬はフルチカゾン相当量で以下のように分類した。すなわち、低用量: >0–62.5μg/日, >62.5–125μg/日, >125–250μg/日; 中等量:>250–500μg/日;、高用量:>500μg/日。妊娠中のLABAの使用と吸入ステロイド薬の用量の影響は、一般化推定方程式モデル(generalised-estimating-equation models)によって同定された。

結果:
 7376人の妊婦を本試験に登録した。平均年齢は27.5歳で、80.5%が都市部、56.1%が社会扶助を受けていた。
 8.8%がLABAに曝露され、56.9%が吸入ステロイド薬に曝露されていた。適格基準通り、すべてのLABA使用者は吸入ステロイド薬を併用していた。LBW、PB、SGAの頻度はそれぞれ7.7%、9.5%、13.5%だった。
 LABAの使用は、LBWの頻度(OR 0.81; 95%信頼区間0.58 to 1.12)、PBの頻度(OR 0.84; 95%信頼区間0.61 to 1.15)、SGAの頻度(OR 0.92;95%信頼区間 0.70 to 1.20)を増加させなかった。平均吸入ステロイド薬(フルチカゾン相当)用量が125 μg/日を超える場合、統計学的に有意ではないが次第にLBW、PB、SGAが多くなる傾向がみられた。
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結論:
 コントロール不良、重症喘息、喫煙ステータスといった残余交絡の可能性は残るものの、LABAと低用量吸入ステロイド薬の使用は新生児への当該アウトカムを増加させなかった。妊婦の気管支喘息に対する安全性をより評価するために、高用量吸入ステロイド薬における追加検証が必要だろう。


by otowelt | 2013-04-21 00:11 | 気管支喘息・COPD

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