ICUにおけるリハビリテーションの有用性についてのシステマティックレビュー

e0156318_21482388.jpg 重症患者さんに対するリハビリテーションは療法士さんにとっても難しい治療の1つだろうと思います。
 それにしても論文の内容が思ったより難解で、読んでいる途中で眠たくなってしまいました。Hedgesのgなどの効果量の分野についてはほとんど無知です。

Geetha Kayambu, et al.
Physical Therapy for the Critically Ill in the ICU:A Systematic Review and Meta-Analysis
Critical Care Medicine, 29 March 2013, doi: 10.1097/CCM.0b013e31827ca637


背景:
 ICUを退室した患者は長期にわたり、身体機能の低下やQOLの低下に悩まされることがあり、これは集中治療後症候群(post intensive care syndrome)と呼ばれている(Crit Care Med 2012; 40:502–509)。

目的:
 このシステマティックレビューの目的は、重症患者における運動療法のエビデンスを検証することである。

方法:
 Ovid MEDLINE (1980年~2012年1月)、PubMed (1980年~2012年1月)、CINAHL (1982年~2012年1月)、Cochrane Database (1992年~2012年1月)において集中治療と運動療法に関するキーワードを用いて、ランダム化試験、メタアナリシス、システマティックレビューを抽出した。キーワード:(intensive care OR critical care) AND (physical therapy OR mobilization OR exercise OR physiotherapy OR mobility)
 このシステマティックレビューを作成するにあたり、身体治療の定義は以下のものとした。すなわち、体位変換、ストレッチ、電気的筋肉刺激 (Electrical Muscle Stimulation:EMS)、関節可動域訓練、漸増抵抗運動、運動力測定、歩行訓練、有酸素運動など。死亡率、在院日数、ICU在室期間、身体機能、QOL、筋力、人工呼吸器非使用日数のアウトカムを含む臨床試験も登録した。

結果:
 2人のレビュアーがデータ抽出を行い、独立して試験の質を吟味した。効果量と95%信頼区間が算出された。3126のアブストラクトをスクリーニングし、10のランダム化比較試験と5つのレビューが同定された。平均Physiotherapy Evidence Database scoreは5.4であった。
 概して重症患者に対する身体的治療はQOL(Hedgesのg = 0.40, 95%信頼区間 0.08~0.71)、身体機能(g = 0.46, 95%信頼区間0.13~0.78)、四肢筋力(g = 0.27, 95%信頼区間0.02~0.52)、呼吸筋(g = 0.51, 95%信頼区間0.12~0.89)を増加させる効果がみられた。
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 在院日数(g = -0.34, 95%信頼区間-0.53~-0.15)、ICU在室期間(g = -0.34, 95%信頼区間-0.51~-0.18)は有意に減少し、人工呼吸器非使用日数(g = 0.38, 95%信頼区間0.16~0.59)も増加した。死亡率に関しては影響を与えなかった。
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 個々の試験ごとにドロップアウトなどのバイアスがみられたが、試験からのデータ抽出が十分にできず、メタアナリシスとしてのバイアス評価は困難であった。

結論:
 ICUにおける身体的治療は、QOL、身体機能、筋力、人工呼吸器非使用日数を増加させ、在院日数やICU在室期間を減少させる。しかしながら、これらの関連性をより明確にするためにはさらに良質で大規模の臨床試験が臨まれる。


by otowelt | 2013-04-19 00:39 | 集中治療

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