EGFR-TKIで治療されたEGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺癌患者では、CYFRA21-1が高いとPFSが短縮する

e0156318_7422892.jpg 日本からの論文です。扁平上皮癌だけに絞った考察もしており、非常に勉強になる論文です。

Tanaka K, et al.
Cytokeratin 19 Fragment Predicts the Efficacy of Epidermal Growth Factor Receptor–Tyrosine Kinase Inhibitor in Non–Small-Cell Lung Cancer Harboring EGFR Mutation
Journal of Thoracic Oncology, in press, doi: 10.1097/JTO.0b013e31828c3929


背景:
 EGFR遺伝子変異は、性別や喫煙歴にかかわらずEGFR-TKI治療を受けている非小細胞肺癌(NSCLC)患者の良好な反応と独立して関連している。EGFR遺伝子変異陽性の扁平上皮癌は腺癌患者と比較するとEGFR-TKIの反応性は悪い(Cancer Sci 2011;102:1032–1037.)。われわれは、血清サイトケラチン19フラグメント(CYFRA21-1)がEGFR遺伝子変異陽性NSCLC患者へのEGFR-TKIの効果と関連しているのではないかと仮説を立てた。

方法:
 先端医療センター病院あるいは神戸市立医療センター中央市民病院において、われわれはレトロスペクティブに、1992年から2011年の間にゲフィチニブあるいはエルロチニブを投与した160人のEGFR遺伝子変異陽性NSCLC患者をスクリーニングした。全ての患者はIIIB期、IV期、術後再発でEGFR遺伝子変異を有しているものとした。EGFRはPNA LNA PCR-Clamp法で同定した。組織学的分類はWHO分類に準じた。胸部CTは治療開始前28日以内に撮影され、以後2~3ヶ月ごとに繰り返された。
 患者から臨床的特徴、EGFR-TKIの効果、初診断時の腫瘍マーカー(CEA、CYFRA21-1)のデータを抽出した。

結果:
 91人(57%)が女性で97人(61%)が非喫煙者であった。年齢は33歳から90歳までで中央値は67歳だった。8人の扁平上皮癌と1人の大細胞癌以外はすべて腺癌と診断された。153人が主要なEGFR遺伝子変異を有していた(exon 19 deletion、L858R mutation)。残りの7人はまれなEGFR遺伝子変異であった(1人:L861Q in exon 21、6人:G719X in exon 18)。
 132人がゲフィチニブ、28人がエルロチニブで治療された。これらEGFR-TKIで治療された160人の患者のうち、CYFRA21-1が2ng/ml超の高値であった77人は無増悪生存期間(PFS)がCYFRA21-1が正常値であった83人より有意に短かった。(PFS中央値 7.5ヶ月 vs 13.3ヶ月、p< 0.001)。CEAの高値ではPFSに差はみられなかった(PFS中央値 8.6ヶ月 vs 11.2ヶ月、p= 0.242)。多変量解析ではCYFRA21-1の高値はPFS短縮の独立因子であった(ハザード比1.27、p=0.002)。
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 ただ、全生存期間(OS)については有意差がみられなかった(OS中央値 24.8ヶ月 vs 39.1ヶ月、p= 0.104)。
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 なお、EGFR-TKIで治療された8人の扁平上皮癌の患者のうち、4人がPD、2人がSD、2人がPRだった。EGFR遺伝子変異陽性の扁平上皮癌については、過去の報告でも同様にPFSの短縮が報告されている(Cancer Sci 2011;102:1032–1037.)。本試験では、腺癌の傾向と同じくCYFRA21-1が低い場合にはPFSが長くなるという現象が観察された。

limitations:
・195人の連続EGFR遺伝子変異陽性NSCLC患者を検索したが、35人はCYFRA21-1が測定されていなかったため除外された。これは選択バイアスの可能性がある。
・50%の患者が存命であるため、OSの解析が十分できなかった。
・CYFRA21-1が扁平上皮癌のコンポーネントを含むのかどうかははっきりしない。

結論:
 CYFRA21-1が高値である患者は有意にPFSが短い。EGFR-TKI治療を受けているEGFR遺伝子変異陽性NSCLC患者において、CYFRA21-1は予後規定因子ではないが予測マーカーとして使用できる。


by otowelt | 2013-04-22 10:53 | 肺癌・その他腫瘍

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