中国農村部の土壌伝播蠕虫に関するアニメビデオは児童の感染発生率を低下させる

 NEJMの論文を読んでアニメビデオを見るとは思いもしませんでした。最初に仙人のようなおじいさんが出てくるのですが、「医者かよ!」と突っ込んでしまいそうになりました。
 論文の内容も結構面白く、読み応えがあります。

Franziska A. Bieri, et al.
Health-Education Package to Prevent Worm Infections in Chinese Schoolchildren
N Engl J Med 2013;368:1603-12.


背景:
 土壌伝播蠕虫(soil-transmitted helminths)は、最も頻度の多いヒト感染寄生虫の1つである。これらの寄生虫が蔓延している中国湖南省臨湘市区の農村部の学校で、教育パッケージの効果を検証した。この介入の目的は、土壌伝播蠕虫に関する知識を向上させ、その行動変化によって感染率を低下させることである。

方法:
 中国湖南省臨湘市区の38の学校で、1学年度の間に9~10歳児童1718人を対象とした単盲検非マッチクラスターランダム化介入試験をおこなった。対象となった学校で、アニメビデオ(The Magic Glasses)を用いる衛生教育と教育ポスターを掲示するだけのコントロール群にランダムに割り付けた。 アニメビデオは、寄生虫を見えるメガネをつけた少年を主人公にした話。
 これらの介入前後に感染率、土壌伝播蠕虫に関する知識(アンケート:43点満点で評価)、手洗い行動を評価した。アルベンダゾールはベースラインで全児童に投与し、学年終了時の追跡評価の際に土壌伝播蠕虫の感染陽性が判明したすべての児童に投与した。

結果:
 学年終了時の追跡評価の段階で、蠕虫に関する知識の平均スコア(Knowledge, Attitudes, and Practices [KAP])は、介入群のほうがコントロール群よりも90%高く(63.3 vs 33.4、P<0.001)、トイレ後に手を洗う児童の割合は、介入群のほうが2倍程度高く(98.9% vs コントロール群 54.2%、P<0.001)、土壌伝播蠕虫感染の発生率は介入群のほうがコントロール群よりも50%低かった(4.1% vs 8.4%、P<0.001)。アルベンダゾール投与15分以内に有害事象はなかった。結論:
 中国農村部の衛生教育によって、1学年度で児童の土壌伝播蠕虫に関する知識が高まり、感染発生率の低下がもたらされた。


by otowelt | 2013-04-28 00:01 | 感染症全般

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