ATS2013:安静時動脈血酸素飽和度の変化は特発性肺線維症の予後予測因子である

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M.R. Soares, et al.
The Value Of Oxygen Saturation In Monitoring The Idiopathic Pulmonary Fibrosis
ATS 2013, May 19, 2013, Poster Discussion Session


背景:
 努力性肺活量やDLCOの変化は、特発性肺線維症(IPF)の予後予測因子である。動脈血液ガス分析の変化はあまりあてにならないと考えられている。しかし動脈血酸素飽和度は広く使用されてものの、IPFの予後予測因子としての評価はなされたことがない。

目的:
 IPF患者において安静時および労作後の動脈血酸素飽和度を測定し、これらの変化を予後と相関させて解析すること。

方法:
 IPFは外科的肺生検でUIPパターンがあるものあるいはHRCTで蜂巣肺があるものを登録した。労作後の動脈血酸素飽和度については、6分間歩行試験あるいは階段昇降試験をおこなって採血した。 最初の評価から4~18ヶ月後に繰り返しこれらの評価をおこなった。

結果:
 132人の患者が登録された。33(25%)が外科的肺生検で診断された。平均年齢は69±8歳であった。登録時の努力性肺活量は予測値の76 ± 16%であった。93人(70%)が男性で90人(68%)が喫煙者あるいは既往喫煙者だった。フォローアップ期間中央値は32.5ヶ月(4~174ヶ月)だった。反復して検査がおこなわれたのは中央値で初回評価から7.6ヶ月後だった。生存期間中央値は57ヶ月で、65人が死亡した。
 初回安静時動脈血酸素飽和度は93.8 ± 3.4%で、フォローアップ時には92.3 ± 4.4% (paired t = 5.81, p<0.001)と低下していた。同様に初回労作後動脈血酸素飽和度は86.6 ± 6.5%で、フォローアップ時には84.6 ± 7.0% (paired t = 4.74, p<0.001)と低下していた。
 ベースラインから努力性肺活量が10%以上減少した36人は、減少しなかった患者96人と比較して生存期間が短かった(中央値45ヶ月 vs 63ヶ月、log rank = 4.70, p = 0.03)。Cox回帰分析では安静時動脈血酸素飽和度の低下は生存と関連しており(χ2 = 5.07, p = 0.035)、労作後の動脈血酸素飽和度の低下は関連していなかった(χ2 = 0.99, p = 0.32)。いくつかのカットオフ値を設定して解析したところ、安静時動脈血酸素飽和度が3%以上低下する場合に予後に与える影響が最も大きかった。安静時動脈血酸素飽和度が3%以上低下した45人の患者では生存期間中央値は27ヶ月(95% CI 14-40ヶ月)で、3%以上低下がなかった87人では66ヶ月(95% CI 44-80ヶ月)だった(χ2 = 10.45, p = 0.001)。

結論:
 IPF患者における安静時の動脈血酸素飽和度の変化は有意な予後予測因子である。特に3%以上の減少は予後不良である。


by otowelt | 2013-05-19 23:47 | びまん性肺疾患

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