ATS2013:入院を要する肺炎のアジスロマイシンは循環器系副作用をやや上昇させるが総死亡率は低下させる

近年、マクロライドと循環器系のリスクが話題になっています。NEJMやBMJでも報告がありましたね。
・Ray WA, et al. Azithromycin and the risk of cardiovascular death. N Engl J Med. 2012 May 17;366(20):1881-90.
・Schembri S, et al. Cardiovascular events after clarithromycin use in lower respiratory tract infections: analysis of two prospective cohort studies. BMJ. 2013 Mar 20;346:f1235. doi: 10.1136/bmj.f1235.


以下、今回のATSでの報告です。

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E.M. Mortensen, et al.
Azithromycin Is Associated With Increased Cardiac Events But Lower Mortality For Patients Hospitalized With Pneumonia
ATS 2013, May 19, 2013, Poster Discussion Session


背景:
 ガイドラインでは、入院を要する肺炎患者の初期治療にアジスロマイシンを含むマクロライドの使用を推奨しているが、近年の研究ではアジスロマイシンが心血管イベントを増加させるのではないかと考えられている。このスタディの目的は、アジスロマイシンの使用が総死亡率と心血管イベントに与える影響を検証することである。

方法:
 われわれはレトロスペクティブにDepartment of Veterans Affairs (VA)入院データを用いて試験をおこなった。このデータベースによって64歳以上の入院を要する肺炎患者を抽出した(2002年~2007年)。われわれは、抗菌薬をガイドラインに合致して使用している症例のみを登録し、入院から90日フォローアップした。アウトカムは総死亡率、不整脈イベント、うっ血性心不全、心筋梗塞、その他心疾患イベントとした。既知の交絡因子の影響をコントロールするために傾向スコアを用いた。

結果:
 20689人のアジスロマイシン使用群に対して、20689人の非使用群をそれにマッチさせた。
90日死亡率は有意にアジスロマイシン群で低かったが(オッズ比0.84, 95%信頼区間0.80-0.88)、心疾患イベント(オッズ比1.04, 95%信頼区間1.01-1.07)、うっ血性心不全(オッズ比1.04, 95%信頼区間1.01-1.08)、不整脈(オッズ比1.05, 95%信頼区間1.005-1.09)は有意に上昇した。しかし心筋梗塞のリスクは上昇させなかった(オッズ比1.11, 95% CI, 0.98-1.25)。

結論:
 入院を要する肺炎患者において、アジスロマイシンは総死亡率を有意に低下させるものの心血管イベントをやや増加させた。われわれの試験では、現在のアジスロマイシンを用いた抗菌薬併用治療を推奨するガイドラインを支持する立場としたい。



by otowelt | 2013-05-19 23:38 | 感染症全般

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