ATS2013:特発性肺線維症の臨床試験における肺活量と臨床的エンドポイントの解離

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オーラルセッションからの演題です。肺活量に変化があまりないのに、臨床的アウトカムに差が出たという解離について述べた報告です。

F.J. Martinez, et al.
Discrepancy Between Changes In FVC And Disease Progression In Two Prospective Idiopathic Pulmonary Fibrosis (IPF) Therapeutic Trials
ATS 2013, May 20, 2013, Mini Symposium


背景:
 特発性肺線維症(IPF)の第III相試験のプライマリエンドポイントの選択は非常に議論が分かれるところである。エンドポイントに関しては様々な意見があり、臨床的に重要なエンドポイント(死亡率、入院率、症状・健康ステータス、あるいはこれらの組み合わせ)(AJRCCM 2012; 185:1044-8)あるいは生理学的に置き換えられるもの、あるいはその他の代用評価項目など多くの意見がある(AJRCCM 2012; 186:712-5)。努力性肺活量(FVC)の変化を比較した2つのIPFnetからの治療に関する臨床試験からの解析をおこなった。

方法:
 ワーファリンとプラセボに割り付けたACE-IPF試験(Am J Respir Crit Care Med. 2012 Jul 1;186(1):88-95.)では、プライマリエンドポイントは総死亡までの期間、非選択的非出血性入院あるいはFVCの10%の減少としている。35歳から85歳までのIPF患者でFVC≥50%かつDLCO≥30%である軽症から中等症を対象とした、アザチオプリン/プレドニゾン/N-アセチルシステインあるいはマッチしたプラセボを比較したPANTHER-IPF試験(N Engl J Med. 2012 May 24;366(21):1968-77.)では、60週におよぶFVCの変化をプライマリエンドポイントとした。時間事象曲線(time-to-event curves)はKaplan-Merier法を用いた。ハザード比と95%信頼区間はCox回帰モデルを用いた。繰り返し測定値に関する混合効果モデルがFVCの変化の類推に使用された。

結果:
 どちらの試験も、治療とプラセボ間の重篤な有害事象における不均衡のためデータ安全性モニタリング委員会によって早期に中断された。ACE-IPF試験では、死亡あるいは入院までの期間に治療群とプラセボ群で有意な不均衡がみられた(HR 2.12, p=0.02)(パネルA)。しかしながら、FVC変化には両群に差はみられなかった(パネルB)。平均フォローアップ期間は24週間だった。PANTHER-IPF試験でも同様に、治療群とプラセボの間に死亡あるいは入院において治療群とプラセボ群で有意な不均衡がみられた(HR 3.74, p<0.001) (パネルC)が、FVCの変化には両群に差はみられなかった(パネルD)。平均フォローアップ期間は32週間だった。
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結論:
 これら2試験では、治療群とプラセボ群に臨床的に有意なエンドポイントに有意差がみられたにもかかわらず、FVCには差がみられなかった。


by otowelt | 2013-05-20 23:47 | びまん性肺疾患

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