ATS2013:特発性肺線維症の総死亡率を検証する試験は実現不可能かもしれない

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とても大事な検証だと思います。

T.E. King, et al.
All-Cause Mortality (ACM) Rate In Patients With Idiopathic Pulmonary Fibrosis (IPF): Implications For The Design And Execution Of Mortality Trials
ATS 2013, May 20, 2013, Mini Symposium


背景:
 この10年、かつてないほど特発性肺線維症(IPF)の治療を扱ったランダム化比較試験が実施されてきた。IPFの薬剤がいくつかの国々で承認されるにあたり、努力性肺活量(FVC)は第III相臨床試験において標準的なプライマリエンドポイントとして扱われてきた。しかしながら、近年は総死亡率をプライマリエンドポイントとして組み込むべきではないかという議論が起こっている。

方法:
 ピルフェニドンの効果を評価するためのCAPACITY試験あるいはインターフェロンγ1bの効果を評価するためのINSPIRE試験でプラセボに割り付けられた全ての患者を登録した。

結果:
 622人の患者を解析に入れた。年齢中央値は67歳で、%FVCおよび%DLCOはそれぞれ71.8、45.6だった。総死亡率は1年で6.6%、2年で13.7%だった。およそ20%の死亡がIPFとは関連していなかった。治療による生存への利益を証明するため、たとえば死亡率のハザード比で0.75を達成するためには、合計508人の総死亡イベントが必要になる。3年以上の長期試験で最大5年のフォローアップを要する場合、2862人の患者が必要となる。最近の第III相試験の経費から計上すると、これにはおよそ2億5000万ドルが必要になる。
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結論:
 軽度から中等度の呼吸機能障害を有するIPF患者における総死亡は比較的少なくい上、5分の1の死亡はIPFとは関連していない。必要なサンプルサイズ、試験期間を考慮すると、総死亡率を検証する試験のコストは膨大になるだろう。この解析には極度に進行したIPF患者は含まれていないが、そうなると治療そのものが効果をもたらすか否かの判定が困難になるだろう。ゆえに、IPFの患者において死亡率を検証する試験は費用がかかる上に実現不可能だろう。


by otowelt | 2013-05-21 02:55 | びまん性肺疾患

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