肺癌患者の自殺率は一般人口集団より高く、特に診断から3ヶ月以内は顕著

e0156318_16312716.jpg 自殺に関する問題にはなかなか踏み込めない研究者が多いのですが、CHESTから肺癌と自殺の関連について報告がありました。


Urban D, et al.
Suicide in lung cancer: Who is at risk?
Chest. 2013 May 16. doi: 10.1378/chest.12-2986.


背景:
 肺癌患者における自殺率は一般人口集団よりも高い。このスタディでは、肺癌患者における自殺に関連した患者・疾患特性を調べることにある。

方法:
 1973年から2008年の間、SEERデータベースを用いて原発性肺癌と診断された患者を抽出した。

結果:
 871230人の患者が肺癌と診断され、1184人が自殺した。自殺率は、1973年~1979年の1万人あたり8.83と2000年から2009年の1万人あたり7.17で有意に差はみられなかった。コホート全体での標準化死亡比(SMR)は4.95であり、癌の診断から3ヶ月以内では13.4であった。
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 ほとんどのサブグループでは一般人口集団よりSMRが高かったにもかかわらず、サブグループ内ではリスクに幅広く差がみられた。たとえば気管支肺胞上皮癌と小細胞がんではそれぞれSMRが1.58、7.28だった。もっとも高いSMRは、高齢者、進行期、転移がある患者でみられた。転移のある患者では高いSMRだったが、50%を超える自殺者は局所の癌で潜在的に治療可能な患者にみられた。

結論:
 一般的なアメリカの人口集団よりも肺癌患者において自殺リスクは高く、特に診断から3ヶ月以内は顕著であった。予後不良患者でSMRは高かったが、治療可能な患者でも自殺者数は多いため、これらの死亡原因を予防するための効果的スクリーニング戦略が望まれる。
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 たとえば、NCCNガイドラインでは、Distress thermometer screening toolなどを紹介している。


by otowelt | 2013-05-25 23:07 | 肺癌・その他腫瘍

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