ATS2013:睡眠呼吸障害とAlzheimer病に発症の因果関係があるかもしれない

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海外のメディアで注目を集めたポスター演題です。筆頭演者のRicardo S. Osorio医師は、「これはまさにニワトリか卵かという問題」と述べていました。

R.S. Osorio, et al.
Sleep-Disordered Breathing, Aging And Risk For Alzheimer's Disease In Cognitively Normal Subjects
ATS 2013, May 19, Poster Discussion


背景:
 これまでの臨床試験で、睡眠呼吸障害(SDB)はAlzheimer病(AD)の発症と関連しているのではないかと示唆されている。現時点でのエビデンスでは、発症前段階のADを脳脊髄駅(CSF)バイオマーカーやPET,MRIなどで同定することができるかもしれないとされている。
 認知機能が正常なSDBを有する高齢者患者において、既知のバイオマーカーを測定した。(例:CSF Aβ42の減少、CSF P-TauあるいはT-Tau増加、領域特異的脳内グルコース低代謝、脳アミロイド沈着の増加、海馬容積減少など)

方法:
 68人の患者(平均年齢71.4±5.6歳)に対して臨床的検査、神経生理学的試験、2夜の在宅SDBモニタリング、少なくとも1回のAD診断手技(CSF Aβ42, P-TauおよびT-Tau、FDG-PET、PiB-PET、MRI)がおこなわれた。SDBは4%の酸素飽和度低下イベントを伴うAHIによって分類した。正常AHI4%は5未満で、軽症SDBを5-15、中等症~重症SDBを15超とした。

結果:
 68人の患者のうち、18人(26.5%)が正常呼吸であり、33人(48.5%)が軽症SDB、17人(25%)が中等症~重症SDBだった。中等症~重症SDBの高BMIを除いて、SDBのグループで神経生理学的あるいは臨床的差異はみられなかった。
 BMI25未満のSDB患者では、グルコース低代謝が内側側頭葉で観察され(F= 18.00; p=0.00; )、外側側頭葉(F=4.68; p=0.04)や後帯状皮質(F=9.18; p=0.00)でも観察された。過体重の患者では内側側頭葉のみでグルコースの低代謝が観察された(F=9.21; p=0.00)。
 ADの特異的バイオマーカーは、BMI25未満の患者においてのみ変化がみられた:CSF P-Tauの増加(F=5.83; p=0.02)、ADが際立つ領域でのグルコース低代謝(AD-mask: F=4.48; p=.05)。
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結論:
 肥満のない認知的に正常な高齢者において、SDBとADのいくつかのバイオマーカーの関連がみられた。これはすなわち、SDBがADのリスクであることを示唆するものである。しかしこの報告は、SDBあるいはADのどちらが原因であり結果であるかという点についての答えは提示していない。


by otowelt | 2013-05-20 21:08 | 呼吸器その他

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