HER2遺伝子変異のある非小細胞肺癌の臨床経過

e0156318_10124462.jpg 肺癌領域ではトピックであるHER2に関する話題です。

Julien Mazieres, et al.
Lung Cancer That Harbors an HER2 Mutation: Epidemiologic Characteristics and Therapeutic Perspectives
JCO June 1, 2013 vol. 31 no. 16 1997-2003


目的:
 HER2遺伝子変異は、非小細胞肺癌(NSCLC)のおよそ2%に同定される。HER2遺伝子変異のあるNSCLCの臨床経過についてはほとんどデータがない。

患者および方法:
 フランス、スイス、スペインにおける多施設において、われわれはレトロスペクティブにHER2遺伝子変異陽性(エクソン20のin-frame insertion)のNSCLCと診断された65人の患者を本試験に登録し、臨床病理学的特徴、治療および患者の予後について解析した。
 HER2発現は、免疫組織染色法と組織FISH法によりその増幅、過剰発現が検索された。
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結果:
 HER2遺伝子変異は3800人の患者のうち65人(1.7%)に同定され、KRAS遺伝子変異と共存がみられた1例を除くとすべて相互排他的であった。
 患者の年齢中央値は60歳(range:31-86歳)で、女性に多くみられ(女性45人:69%、男性20人)、非喫煙者に多くみられた(34人、52.3%)。組織型は全て腺癌であり、半数は診断の時点で病期はIV期だった。
 病期がIV期の16人の患者に対してなんらかのHER2標的治療が合計22回行われていた。治療によって、4人で病勢進行、7人で病勢安定、11人で部分奏効が観察された(奏効割合50%、病勢制御率82%)。この中でも、トラスツズマブをベースとした治療を受けた15人では93%、アファチニブ治療を受けた3人では100%の病勢制御が得られたものの、その他のHER2標的治療を受けた3人では治療の反応性が観察されなかった。HER2標的治療の無増悪生存期間は5.1ヶ月だった。病期I-IIIおよび病期IVの患者における生存期間中央値はそれぞれ89.6ヶ月、22.9ヶ月だった。
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結論:
 本試験は現時点でHER2陽性NSCLCにおける最も大規模なものである。肺腺癌においてHER2遺伝子変異を検索することは重要であり、こういった患者群におけるHER2標的治療の効果が示唆される。


by otowelt | 2013-06-07 12:52 | 肺癌・その他腫瘍

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