リンパ脈管筋腫症(LAM)に対する低用量シロリムスは有効

レトロスペクティブの観察試験ではありますが、LAMに対する治療のまとまった報告というだけでも、呼吸器科医にとってはとてもとても貴重な報告です。
 LAMに対するシロリムスについては、CAST試験(N Engl J Med 2008;358:140–51.)、MILES試験(N Engl J Med 2011;364:1595–606.)の2試験において、血管筋脂肪腫の縮小や呼吸機能の低下を抑制することが示されています。
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 今回、Respiratory Inestigationの低用量シロリムスの論文をご紹介します。

Ando K, et al.
The efficacy and safety of low-dose sirolimus for treatment of lymphangioleiomyomatosis
Respiratory Investigation, in press, doi:10.1016/j.resinv.2013.03.002


背景:
 リンパ脈管筋腫症(LAM)は、哺乳類ラパマイシン標的タンパク質(mTOR)の活性化の調節障害による稀な疾患である。mTOR阻害薬であるシロリムスは、LAM患者において血管筋脂肪腫の大きさを減少させ、呼吸機能を安定化させることが報告されている。しかしながら、LAMの治療における適正用量は不明である。

方法:
 われわれはレトロスペクティブ観察試験を6ヶ月以上のシロリムス治療を受けたLAM患者に対しておこなった。順天堂大学医学部附属病院において、2009年11月から2012年1月までの間シロリムス治療を受けたLAM患者21人を登録した。治療期間などの問題から6人を除外し、合計15人を本試験の解析対象とした。
 効果はシロリムス治療前後の患者の臨床経過、呼吸機能、胸部画像所見を用いて評価した。

結果:
 年齢は39.9±8.0であり、14人が孤発性、1人が結節性硬化症関連のLAMであった。
 全ての患者はシロリムスのトラフ値が5ng/mL以下であった。シロリムス治療は、乳び胸のない8人の患者において努力性肺活量および一秒量の年間の変化率を改善させた(努力性肺活量:治療前の年間変化−101.0 vs. 治療後の年間変化+190.0mL/年, p=0.046、一秒量:治療前の年間変化−115.4 vs. 治療後の年間変化+127.8mL/年, p=0.015)。
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 シロリムス開始時に乳び胸を有していた残り7人の患者のうち、6人では治療1~5ヶ月で完全に乳び胸が軽快した。これらの結果は、シロリムスのトラフ値が5~15ng/mLであった過去の試験と類似するものである。
 血清VEGF-Dを測定した14人では、1人を除いて全例でその値が低下した。
 有害事象については、9人(60%)が胃炎、8人(53.3%)が消化器症状、6人(40.0%)が呼吸器感染症を呈した。

結論:
 LAM患者において低用量シロリムス(トラフ値が5ng/mL以下)は呼吸機能や乳び胸を改善させる。


by otowelt | 2013-06-09 00:03 | びまん性肺疾患

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