日本人の悪性胸水に対するタルクの胸膜癒着術は有効

e0156318_13585789.jpg 聖マリアンナ医科大学からの報告です。基本的に外国で承認されていても日本での医薬品の認可はなかなかおりないことが多く、日本におけるタルクによる胸膜癒着術の臨床試験が望まれていました。
 ここまで民族差を考慮しなければならない慎重な薬剤事情は、一体いつから始まったのでしょうか。
 少なくともOK-432よりは使用しやすいと思うので、早くタルクが処方できるようになればいいですね。

Inoue T, et al.
Talc Pleurodesis for the Management of Malignant Pleural Effusions in Japan
Intern Med 52: 1173-1176, 2013


目的:
 悪性胸水は、胸腔ドレナージのあとQOLを維持するための胸膜癒着術によって治療される。タルクは現在世界的に悪性胸水治療のための標準的な胸膜癒着剤であるが、日本ではまだ承認されていない。その代わりに、多くの患者は胸膜癒着剤としてOK-432(ピシバニール®)が投与されており、これは高熱、胸痛、アナフィラキシーショック、間質性肺炎、急性腎不全といった合併リスクがある。日本人の患者において悪性胸水に対するタルクの効果と安全性を評価した。

方法:
2007年5月から2012年4月までの間、20歳以上のコントロール不良悪性胸水の患者を登録した。
 胸腔鏡下タルク噴霧による胸膜癒着術(Poudrage法)あるいは胸腔ドレーンからのタルクによる胸膜癒着術をおこなった。滅菌タルク(Steritalc®; Novatech;La Ciotat, France)は4g用いた。
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(文献より引用)

結果:
 57人の患者が登録された。39人が女性で、年齢は68.1±10.5歳(range, 43 to 92)だった。
 胸部画像所見によって判定した成功率は、癒着術後30日で90.6%、90日で80.9%、180日で76.1%だった。タルクによる胸膜癒着術後の合併症は発熱10.5%、胸痛14.0%だった。重篤な有害事象は報告されなかった。

結論:
 日本人における悪性胸水のマネジメントにおけるタルクの胸膜癒着術は効果的で安全である。


by otowelt | 2013-06-10 00:36 | 肺癌・その他腫瘍

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