ARDSにおける腹臥位療法は肥満患者でより効果的

e0156318_10155743.jpg 肥満患者さんでは腹臥位療法そのものが非常に大変なので、マンパワーがある集中治療室でないと難しいかもしれません。欧米諸国の臨床試験は”非肥満”であっても体重が多めですね。ただでさえ体格の小さい日本ではなかなか組めない試験だと思います。
 この試験は肥満に注目して考察されていますが、非肥満患者であっても効果的である点も重要です。これは、先日のNEJMの報告と同様ですね。

重症ARDSに対する腹臥位療法は28日死亡率、90日死亡率を減少

 以下、今回のCHESTの報告です。

Audrey De Jong, et al.
Feasibility and Effectiveness of Prone Position in Morbidly Obese Patients With ARDS
A Case-Control Clinical Study
CHEST 2013; 143(6):1554–1561


背景:
 肥満患者は無気肺とARDSの発生リスクが高い。腹臥位療法は無気肺を減少させ、酸素化やARSによる重度の低酸素血症を改善させることができる。しかし、肥満患者のARDSについてのこの効果は不明である。

方法:
 本試験は、BMI35以上の肥満のARDS患者(P/F比200以下)を、肥満のない(BMI30以下)ARDS患者とマッチさせたモンペリエ大学病院の症例対照研究である。プライマリエンドポイントは、腹臥位療法の安全性と効果で、セカンダリエンドポイントは酸素化に対する効果(P/F比の改善)、人工呼吸器の装着期間、ICU在室期間、院内感染症、死亡率とした。
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(文献より引用)

結果:
 2005年1月から2009年12月までのあいだ149人がARDSとして入院になった。33人の肥満患者と33人の非肥満患者を登録した。体重はそれぞれ116±28kg、72±13kgであった。腹臥位療法の中央期間(25~75パーセンタイル)は、肥満患者で9時間(6~11時間)、非肥満患者で8時間(7~12時間)だった(P=.28)。51人に合併症がみられた(25人:肥満患者、26人:非肥満患者)。少なくとも1つの合併症のある患者の数は群間差はみられなかった。
 P/F比は、有意に肥満患者で増加した(肥満:118 ± 43 mm Hg → 222 ± 84 mm Hg vs 非肥満:113 ± 43 mm Hg → 174 ± 80 mm Hg; P = .03)。
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(文献より引用)

 人工呼吸器装着期間、ICU在室期間、院内感染について有意差はなかった。また、90日死亡率は有意に肥満患者で減少した(27% vs 48%, p < 0.05) 。
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(文献より引用)

結論:
 肥満患者における腹臥位療法は、非肥満患者と比較して安全かつ酸素化を効果的に改善させることができる。腹臥位療法はARDSのうち肥満を有するサブグループには最も効果的な治療法であろう。


by otowelt | 2013-06-06 13:16 | 集中治療

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