PTTM30例の臨床的解析:癌死の1.4%がPTTMによる

e0156318_9184599.jpg PTTMはあまり日本訳されることはありませんが、”肺腫瘍源性塞栓性微小血管症”などと訳されることもあるそうです。癌の終末期で病死というケースの中には、PTTMの症例もいくぶんか含まれているのでしょう。そのため、剖検してから初めてPTTMとわかることも少なくないと思います。
 虎の門病院から30例のPTTMの報告がありました。PTTMでまとまった報告は見かけたことがありませんので、とても貴重な報告だと思います。同じ号のInternal Medicineに、私も小さな症例報告を載せていただいています。

Hironori Uruga, et al.
Pulmonary Tumor Thrombotic Microangiopathy: A Clinical Analysis of 30 Autopsy Cases
Intern Med 52: 1317-1323, 2013


目的:
 pulmonary tumor thrombotic microangiopathy (PTTM)は、肺動脈の腫瘍塞栓によるまれな致死性疾患である。このスタディの目的は、PTTMの臨床的特徴と病理学的および免疫組織化学的所見を評価することである。

方法:
 剖検例は虎の門病院において1983年1月から2008年5月までおこなわれたものを抽出し、悪性腫瘍によるPTTMによって死亡した症例をレビューした。
 組織スライドを再度評価し、診断確定のため免疫組織化学的に組織スライドを再度評価した。

結果:
 2215人の連続した剖検症例のうち、575人が肺癌で、283人が胃癌だった。30人(1.4%)がPTTMと確定診断された。
 最もよくみられた症状は進行性の呼吸困難感であった。過凝固の状態は検査された全ての症例(21人)にみられた。46.7%がDICの診断を受けた。胸部CT所見が得られた6人では、コンソリデーション、スリガラス影、小結節影、tree in budパターンが観察された。血流スキャンは7人でおこなわれ、6人は多発性の小欠損がみられた。酸素開始からの中央生存期間は9日だった。30人中18人で癌性リンパ管症が観察された。原発巣で最も多かったのは胃癌(18人、60%)で、組織型は腺癌が多かった(28人、93.3%)。
 腫瘍塞栓内の免疫組織化学的所見では、VEGF(血管内皮細胞増殖因子)が29人中28人で陽性、組織因子が29人中29人で陽性だった。
e0156318_8561450.jpg
(a:HE染色、b:EvG染色、c:VEGF、d:組織因子、文献より引用)

 過去の報告でPTTMで陽性になりやすいとされているPDGF(血小板由来成長因子)やオステオポンチンについては本試験では頻度はそこまで多くみられなかった(62.1%)。

結論:
 主要肺動脈に塞栓がなく過凝固の状態に付随した急性の呼吸状態の悪化が癌患者にみられた場合、臨床医はPTTMを疑うべきである。VEGFと組織因子はPTTMに重要な役割を果たしているかもしれない。


by otowelt | 2013-06-18 00:33 | 肺癌・その他腫瘍

<< 「ガーグルベース」か「ガーグル... 非結核性抗酸菌症の感染は、その... >>