抗酸菌の便培養の有用性

e0156318_9104880.jpg 最近、便の結核菌PCRが陽性だったため紹介されてきた粟粒結核の患者さんがいました。確かに理論上は便からも結核菌が検出できるのですが、あまり実臨床では塗抹・培養にかけたことはありません。「全然良質な喀痰が出ない、胃液採取もイヤだ」という結核疑いの患者さんは少なくなく、便培養は一つの手段になるかもしれませんね。個人的にはラングフルート®もおすすめです。
 人権の観点から、HIV感染者ではなく”HIVと共生する人(people living with the human immuno deficiency virus:PLHIV)”という呼称を使用するようです。

Oramasionwu, G. E, et al.
The utility of stool cultures for diagnosing tuberculosis in people living with the human immunodeficiency virus.
The International Journal of Tuberculosis and Lung Disease, Volume 17, Number 8, 1 August 2013 , pp. 1023-1028(6)


背景:
 結核の診断の遅れは死亡率を上昇させる。

目的:
 HIV感染者(people living with the human
immuno deficiency virus:PLHIV)便の抗酸菌培養検査が結核の診断能を向上させるかどうか評価する。

デザイン:
 カンボジア、タイ、ベトナムにおける結核診断のクロスセクショナルデータを用いて解析をおこなった。ロジスティック回帰分析によって便培養陽性と結核との関連をアセスメントした。

結果:
 1693人のPLHIVが便培養の試験に登録された。228人のPLHIVは結核感染がいずれかの部位によって明らかになり、101人(44%)が便培養陽性であった。これらのうち、91人(90%)が肺結核だった。交絡因子を補正したところ、結核患者の便培養は非結核患者と比較して以下のパラメータと関連していた。すなわち、喀痰塗抹陰性肺結核(オッズ比26, 95%信頼区間12–58)、中等度塗抹陽性肺結核(オッズ比60, 95%信頼区間23–159)、高度塗抹陽性肺結核(オッズ比179, 95%信頼区間59–546)。塗抹パラメータを問わず、肺結核と便培養には関連がみられた。しかしながら、肺外結核の間には有意な関連性はなかった。また、一般的患者特性やCD4数によっても便培養陽性率に差はみられなかった。
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(文献より引用)

 2回の喀痰培養ののちに便培養を提出する場合、3回連続の喀痰培養と同等の診断能と考えられた(増加率5%, 95%信頼区間3–8 vs 7%, 95%信頼区間4–11)。

結論:
 肺結核のあるPLHIVの約半数で便培養が陽性になった。便培養は、PLHIVにおける結核診断に有用かもしれない。


by otowelt | 2013-07-18 00:05 | 抗酸菌感染症

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