FASTACT-2試験:非小細胞肺癌のファーストラインに対してエルロチニブは上乗せ効果あり
2013年 07月 24日
2012年ESMOで報告された内容です。今年のASCOでもEGFR-TKIの併用については日本から別の報告があったように記憶しています。
Wu YL, et al.
Intercalated combination of chemotherapy and erlotinib for patients with advanced stage non-small-cell lung cancer (FASTACT-2): a randomised, double-blind trial.
Lancet Oncol. 2013 Jul;14(8):777-86.
背景:
FASTACT試験は進行非小細胞肺癌(NSCLC)に対するランダム化プラセボ対照第2相試験で、化学療法に対するエルロチニブの無増悪生存期間(PFS)の上乗せ効果が示唆されている。FASTACT-2試験は、これらの患者群に対する第3相試験である。
方法:
第3相試験において、未治療のIIIB/IV期のNSCLC患者がランダムに1:1で6サイクルのゲムシタビン+カルボプラチン+プラセボおよび、ゲムシタビン+カルボプラチン+エルロチニブに割り付けられた(化学療法は4週間ごと)。エルロチニブおよびプラセボは15-28日に挿入する形をとった。病勢増悪あるいは毒性に容認できないあるいは死亡するまでエルロチニブあるいはプラセボは続けられた。なお、プラセボ群の病勢増悪時にはエルロチニブ使用が推奨された。
プライマリエンドポイントはITT(intentio-to-treat)でのPFSとした。
結果:
2009年4月29日から2010年9月9日までの間、451人の患者がランダムに化学療法+エルロチニブ(226人)、化学療法+プラセボ(225人)に割り付けられた。
PFS中央値はエルロチニブ併用群で有意に延長した(7.6ヶ月 vs 6.0ヶ月、ハザード比0.57、p < 0.0001)。また、全生存期間中央値も延長した(18.3ヶ月 vs 15.2ヶ月、ハザード比0.79、p = 0.0420)。これらの利益は、EGFR遺伝子変異がある場合に顕著にみられた(PFS中央値16.8ヶ月 vs 6.9ヶ月、ハザード比0.25、p < 0.0001およびOS中央値31.4ヶ月 vs 20.6ヶ月、ハザード比0.48、p = 0.0092)。
重篤な有害事象は、それぞれ34%、31%であった。grade3以上の有害事象は、好中球減少(29% vs 25%)、血小板減少(14% vs 14%)、貧血(12% vs 9%)だった。
ディスカッション:
・EGFR遺伝子変異陽性の頻度が影響を与えたのではないか:本試験では、53%にEGFR遺伝子変異がみられた。両群ともにこれらの差はなく、割り付けの時点でのバイアスは否定される。
・プラセボ群の後治療としてエルロチニブが使用されていなのではないか:85%がクロスオーバーしており、15%の逸脱によって生存曲線に有意な差が出るとは考えにくい。しかしながら、プラセボ群でOSとPFSの解離については、クロスオーバーの結果生じた可能性は否定できない。
結論:
NSCNCにおけるファーストラインの化学療法に対して、エルロチニブはPFSおよびOSを延長させる。
Wu YL, et al.
Intercalated combination of chemotherapy and erlotinib for patients with advanced stage non-small-cell lung cancer (FASTACT-2): a randomised, double-blind trial.
Lancet Oncol. 2013 Jul;14(8):777-86.
背景:
FASTACT試験は進行非小細胞肺癌(NSCLC)に対するランダム化プラセボ対照第2相試験で、化学療法に対するエルロチニブの無増悪生存期間(PFS)の上乗せ効果が示唆されている。FASTACT-2試験は、これらの患者群に対する第3相試験である。
方法:
第3相試験において、未治療のIIIB/IV期のNSCLC患者がランダムに1:1で6サイクルのゲムシタビン+カルボプラチン+プラセボおよび、ゲムシタビン+カルボプラチン+エルロチニブに割り付けられた(化学療法は4週間ごと)。エルロチニブおよびプラセボは15-28日に挿入する形をとった。病勢増悪あるいは毒性に容認できないあるいは死亡するまでエルロチニブあるいはプラセボは続けられた。なお、プラセボ群の病勢増悪時にはエルロチニブ使用が推奨された。
プライマリエンドポイントはITT(intentio-to-treat)でのPFSとした。
結果:
2009年4月29日から2010年9月9日までの間、451人の患者がランダムに化学療法+エルロチニブ(226人)、化学療法+プラセボ(225人)に割り付けられた。
PFS中央値はエルロチニブ併用群で有意に延長した(7.6ヶ月 vs 6.0ヶ月、ハザード比0.57、p < 0.0001)。また、全生存期間中央値も延長した(18.3ヶ月 vs 15.2ヶ月、ハザード比0.79、p = 0.0420)。これらの利益は、EGFR遺伝子変異がある場合に顕著にみられた(PFS中央値16.8ヶ月 vs 6.9ヶ月、ハザード比0.25、p < 0.0001およびOS中央値31.4ヶ月 vs 20.6ヶ月、ハザード比0.48、p = 0.0092)。
重篤な有害事象は、それぞれ34%、31%であった。grade3以上の有害事象は、好中球減少(29% vs 25%)、血小板減少(14% vs 14%)、貧血(12% vs 9%)だった。
ディスカッション:
・EGFR遺伝子変異陽性の頻度が影響を与えたのではないか:本試験では、53%にEGFR遺伝子変異がみられた。両群ともにこれらの差はなく、割り付けの時点でのバイアスは否定される。
・プラセボ群の後治療としてエルロチニブが使用されていなのではないか:85%がクロスオーバーしており、15%の逸脱によって生存曲線に有意な差が出るとは考えにくい。しかしながら、プラセボ群でOSとPFSの解離については、クロスオーバーの結果生じた可能性は否定できない。
結論:
NSCNCにおけるファーストラインの化学療法に対して、エルロチニブはPFSおよびOSを延長させる。
by otowelt
| 2013-07-24 00:43
| 肺癌・その他腫瘍