CHEST-1試験、PATENT-1試験:新規肺高血圧症治療薬リオシグアトの有効性

e0156318_1116566.jpg sGC(可溶性グアニル酸シクラーゼ)刺激薬は、慢性肺血栓塞栓症に続発する肺高血圧症の治療薬として期待されている薬剤です。近い将来市場に出回ると思います。NEJMから2試験が論文化されています。
 私の記憶が正しければ、現在使われている3系統の肺高血圧症治療薬すべては、6分間歩行距離をプライマリエンドポイントにした第3相試験の結果をもって有効性が確認されています。全例心カテをおこなうわけにもいかないので、6分間歩行距離がきわめて重要なサロゲートマーカーあることは理解しているのですが、・・・なんというか、6分間歩行距離って”気合い”で変わるんじゃないかと思ってしまいます。たとえば450m歩けた患者さんであっても次の日には480m歩けることがあるわけで。6分間歩行試験を何度も繰り返していると、「なんかもう歩くの適当でいいや」とか「前回の記録を抜くぞ!」といった意気込みも大きなバイアスになってきます。もちろん複数日に分けて複数回検査してその平均を出せば信頼性は上がるのでしょうが・・・。まぁこれを言ってしまえば、QOLや呼吸困難感のスケールなんてもっとバイアスが大きいのでしょう。

Hossein-Ardeschir Ghofrani, et al.
Riociguat for the Treatment of Chronic Thromboembolic Pulmonary Hypertension
N Engl J Med 2013; 369:319-329


概要:
 CHEST-1試験は、手術不能の慢性血栓塞栓性肺高血圧症の患者または肺動脈内膜摘除術後に肺高血圧症の持続や再発がみられる患者261人を、プラセボ投与とリオシグアト投与にラダムに割り付けた第3相試験である。
 治療開始16週目までに、6分間歩行距離はリオシグアト群で平均39m増加したのに対して、プラセボ群では平均 6m減少(最小二乗平均差46m、95%信頼区間25~67、P<0.001)。肺血管抵抗は、リオシグアト群で226 dyn・sec・cm-5 低下し、プラセボ群では 23 dyn・sec・cm-5 上昇(最小二乗平均差 -246 dyn・sec・cm-5 、95%信頼区間-303~-190、P<0.001)。またリオシグアトはNT-proBNP濃度(P<0.001)およびWHO機能分類(P=0.003)も有意に改善した。



Hossein-Ardeschir Ghofrani, et al.
Riociguat for the Treatment of Pulmonary Arterial Hypertension
N Engl J Med 2013; 369:330-340


概要:
 PATENT-1試験は、症候性肺動脈性肺高血圧症(PAH)患者443人を、プラセボ群、リオシグアト2.5mg1日3 回を最大として個別調節投与する群(最大2.5mg群)、リオシグアト1.5mg1日3回を最大として個別調節投与する群(最大1.5mg群)にランダムに割り付けた第3相試験である。
 治療開始12週目までに、6分間歩行距離は最大2.5mg群では平均30m増加し、プラセボ群では平均6m減少(最小二乗平均の差36m、95%信頼区間 20~52、P<0.001)。これは、エンドセリン受容体拮抗薬またはプロスタノイドを投与されている患者でも効果が確認された。また、肺血管抵抗(P<0.001)、NT-proBNP 濃度(P<0.001)、WHO機能分類(P=0.003)、臨床的なPAH増悪までの期間(P=0.005)、Borg呼吸困難感スコア(P=0.002)をリオシグアトは有意に改善させた。


by otowelt | 2013-07-28 00:03 | 呼吸器その他

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