肥満パラドクス:重症患者において肥満は死亡率を減少させる

e0156318_2255625.jpg 院内死亡率の研究者の間での流行である“肥満パラドクス”については何度か記事にしました。

ERS2012:肥満は肺炎の死亡率を低下させる一因かもしれない
肥満パラドクス:市中肺炎において肥満は死亡率を減少させる

 この論文でも原因は不明と言わざるを得ないと記載されており、脂肪に栄養が蓄えられているとか抗炎症性サイトカインが多いとか、いろいろ可能性が考察されています。

Pickkers, Peter, et al.
Body Mass Index Is Associated With Hospital Mortality in Critically Ill Patients: An Observational Cohort Study
Critical Care Medicine:August 2013 - Volume 41 - Issue 8 - p 1878-1883


目的:
 肥満は様々な疾患と関連しており、寿命を縮めるものと考えられている。それにもかかわらずいくつかの臨床試験では、過体重はある患者群では院内死亡率を減少させ、“肥満パラドクス”として注目を集めている。われわれは、重症患者におけるBMIと死亡率の関連性について調べた。

方法:
 オランダの重症患者における観察コホート試験である。オランダの集中治療室に入院した患者を含む、オランダ国立集中治療評価レジストリーのデータベースを利用した。患者は1999年1月1日から2010年1月1日までの154308人のICU患者を登録した。

結果:
 登録患者のうち、21203人(13.6%)はICU在室中に死亡し、31628人(20.3%)は入院中に死亡した。観察期間中、ICU死亡率も入院死亡率も経時的に減少していった。平均BMIは、1999年に25.08であったものが2009年には26.12とわずかに上昇がみられた。
 われわれはロジスティック回帰分析を用い、BMIと院内死亡率の関連性を調べた。BMIは院内死亡率と有意な関連性がみられた。過小体重の患者(BMI<18.5)はリスクの増加が顕著であった。BMI40以上の極度の肥満の患者群が最も死亡率が低かった(ICU死亡率12.0%、院内死亡率17.4%)。死亡リスクでは、肥満および重度の肥満患者(BMI30~39.9)の群で、補正オッズ比0.86(95%信頼区間0.83~0.90)と最も低かった。

結論:
 この大規模観察データベース試験では、肥満と院内死亡率の逆相関が観察された。これは交絡因子の多様性によって説明できない。


by otowelt | 2013-08-05 00:26 | 集中治療

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